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妹が怖い。
僕には妹がいるんだけど、ここ数年とにかく怖い。機嫌が良い時は良いが、悪い時は何をやってもダメで、無言で、イラついた表情で、誰の声掛けにも応えない。目障りなのでどっかにいけというオーラを出しているので、同じ部屋に居られない。
機嫌が良い時と悪い時の切り替えのタイミングもトリガーも曖昧なんだけど、なんとなく「妹がやりたいと思ったことを邪魔してはいけないらしい」ということがわかってきているので、風呂に入るタイミングに気を配ったり、テレビの前に来たなら場所を明け渡すなどの配慮をする。
彼女を除く家族は全員「不機嫌な若い女にどう接するべきか」を知らないので、とにかく機嫌を損ねないように気を遣っている。彼女自身もそうした力関係をわかっているようで、あえてこう「何か要望を通すために不機嫌になってみせる」というパワープレイをしてきている感がある。完全にこの家の主人としてやっている感じ。

このぐらいの歳の女なんてみんなこんなもんなんだろうと思ってそうした態度に抗うことを諦めてるんだけど、もし10代を経験した女の人がこれを見てたらどうするべきか教えてください。

 

たまにコンビニに行くと、雑誌のコーナーで『月刊ヒーローズ』に興味があるフリ(本当に興味があることもある)をしながら他雑誌の表紙になっているグラビアアイドルとその名前をチェックすることがある。エッチな女体にムチャクチャに興味があるのに、堂々と立ち読みをして「私はエッチな女体に興味津々です」と示してみせることすらできず、「あ〜ULTRAMANのエース編まとめたやつ出たんだ」みたいな顔しながら「ヤンマガの子かわいいな、後で調べよう……」と考えている。そうして気になった人を調べてみたりすると年下であることが多くて、なんならそろそろ妹の世代に差し掛かるようになってきていて自己嫌悪に陥ってしまう。
最近はこんな風に、楽しみにしていた人やキャラクターが年下になってしまったことに気づくことがよくある。高校の頃に知ったデレマスはもう結構な数のアイドルの年齢を超えてしまったし、好きだった声優が好きだったラジオ番組を始めた頃の年齢を超えてしまったし、今年の仮面ライダーは年下だし。
そう、本当は仮面ライダーになりたかった。てれび戦士にもなりたかった。そういう気持ちだけをイキイキさせたままなんの行動も起こさなかったので、今こうして傍から見れば「未だに仮面ライダーてれび戦士になりたいって思っちゃってるおじさん」になってしまっている。
自分を「おじさん」呼ばわりして自虐してみせることでイタい言動の免罪符にしてみせる風潮も苦手だけど、もう今の自分を表す言葉は「若いうちだけ許される気持ち腐らせおじさん」を措いて他にはない。今、この先長く長く続く「イタいおじさん」としての道の入口に立っている感覚がある。これから数十年「仮面ライダーになりてえなあ〜」とか「てれび戦士やりてえなあ〜」とか「グラビアアイドルかわいいなあ〜」と思ったまま、年齢を重ねていくだけでなんの成長もない悲しいおじさんをやっていかなければいけないんだと思う。

 

環境の変化が精神的に大きく変わったり成長したりするタイミングになるんだと思っていて、実際に小学校、中学校、高校、大学と人間関係だったり自分の立場が変わるタイミングでなんらかの変化をしてきた感覚がある。だからもう、あとは社会に出るタイミングで最後に一回変化してその先ずっとそのままなのだと思っていたけれど、どうやらそうでもないらしい。環境の変化がなくとも、40だったり50だったりでまた性格の変化が来る人がいるんだという。抑えていたり、周りから見ないフリをされてきた攻撃性みたいなのがとうとう無視できないレベルで出てきたりするんだとか。
そういえば前に男性の更年期についての本でそういう話を読んだことがある。女性だけでなく男性もだいたい50代以降になってくると体調に変化が出てきて性機能や集中力が低下したり、汗っかきになったり、場合によっては鬱状態になったりということが普通にあるらしい。
男性ホルモンがどうこういう話らしいんだけど、僕はこの手のホルモンやら化学物質やらの話が出るとほんの少しだけ穿った見方をしてしまうのと、男性ホルモンと同じ名前のアカウントがTwitterでオス!筋肉!最強!みたいな感じで御意見番的に幅を利かせている様子があんまり好きじゃないから、「男性更年期はこんなに辛いのだ!」みたいな話は軽く読んでたんだけど、そういうことが実際あるなら、まあ体調や精神の変化に応じて性格が変わることもあるんだろう。体調が悪いと不機嫌になる人っているから。

 

一度性格が変わると、それ以前の性格がやっていたことが恥ずかしくて堪らなくなる。いつだってその時自分がいいと思った方を選んでやってるはずなのに、もう大間違いにしか見えなくなってくる。でも、だからって今振り返って恥ずかしい過去のブログやツイートを衝動に駆られて消すのもちょっと違う気がして、できるなら10〜20年ぐらい寝かせておきたいなと思っている。

最近、ちょうど10年前になる自分の小学校の卒業文集を読み返したんだけど「うわあ〜〜〜〜!!!!」となりながらも根っこの部分は変わってないなと思ったし、なんなら文体も文章力もさほど進歩がないように見えた。「あんなことをしちゃってた、言っちゃってた自分」をあらためて見るのは耐え難いほどに恥ずかしいけど、それでも今と地続きの自分だということをこれでもかと思い知らされた。
これから先、性格が良くなったり悪くなったりした時のために、こういう恥ずかしい部分は保存しておいた方がいい気がする。

 

この前やったラジオ番組のリモート収録で卒業文集の話をしたので、編集が終わったら公開したいですね。もう1ヶ月ぐらい置いてるけど。