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会社の同期に最近Apexを始めたっていう女の子がいて、じゃあゴールデンウィーク中とかにやろうよ〜みたいな話になった。全然、本当に1ミリたりとも下心はなかったんだけど。や、あったか……?あったかも……。別に同じ配属でもないので、わざわざ仲を深める必要もなかったし。そもそもこういうゲームをあんまり親しくない人と一緒にやる時って、自分が下手すぎて足引っ張っちゃったらどうしようみたいなありふれた不安があるはずなんだよな。普段の自分ならそんなリスクに目を瞑るはずがないわけで……。じゃあやっぱり、自覚もないままにすごく邪な気持ちでそういう誘いをしたんだと思う。


そんなわけで話をつけて、ゴールデンウィーク中の昼の2時ぐらいからデュオで遊び始めた。僕の方が始めた時期が早かったのもあって、幸いにもそこまで足を引っ張るとかいうこともなく、だからといって先導するとかいうわけでもなく、普通に戦闘で勝ったり負けたりみたいなのを繰り返しながらあんまり中身のない話をした。
一個思い出すと恥ずかしいのが、その子が「投げ物(爆弾)足りないんだよな〜」みたいなことを言っていたので「あげるあげる」っつってその子に向かって投げつけて爆発させちゃったりもした。そういうの許してくれそうな子だったとはいえ、相当はしゃいでたんだと思う(共感性羞恥テロ)。


しばらくやってそろそろお開きかな、というタイミングで待機ロビーに戻ると、知らないIDの人が待機している。おや?この人は……?と思っていると、女の子が「ごめん、普段一緒にやってる友達が入って来ちゃって……」と言い、程なくしてボイスチャットから「どうも、こんにちは〜!」と、たぶんシュッとして明るくてカッコいいんだろうな〜みたいな雰囲気の男の子の声が聞こえてきた。
瞬時にこれやっちゃったか?と思った。彼氏登場だと思った。うちの彼女がどこの馬の骨ともわからんやつと遊んでると知って、ボコりに来たんじゃないかと。訓練場に呼び出しをくらって(Apexには射撃訓練場っていうチームメンバーだけで入って的に当てたりメンバー同士で撃ち合いを練習できるところがあるので)、練習と称してe-リンチをされるんじゃないかと。もしそうなったら謝るしかない。そんな、断じてそういうつもりではなくて、会社の人と仲良くなる一環というか、その子の「今度一緒にやろう!」みたいな社交辞令をまともに受け取っちゃった僕の鈍感さというか……とにかく、出過ぎたマネでしたと言えばいいよな、下手に出ることにかけてはESに書こうか迷ったぐらい自信があるんだから……。
などと逃げ道を考えていると、どうやら彼としてはそんなつもりはないらしく、「一緒にやってもいいですか?」みたいなスタンスだった。女の子も申し訳なさそうに「突然ごめんね、でもこいつ上手いと思うのでよかったら……」と言うので、あ〜それなら全然、こっちはe-リンチでe-フルボッコにされるつもりだったんだからむしろ命拾いしたようなもので、こちらこそお邪魔させてくださいということでプレイ再開となった。


そしたら本当に彼が上手くて、プレイは今までの時間はなんだったんだろうと思うぐらい積極的だし、普段から一緒にやってる2人のトークも盛り上がってきちゃうし、なんなら下の名前で呼び合い出しちゃうしで、これはちょっと、本当にお邪魔しちゃったわね……と思って2人の背中を追っていた。
しばらくプレイしていると、また彼女が「投げ物足りないな〜」と言うので、じゃあ今度は普通に探して渡そうか……と思っていたら、彼が「ほら、あげる!〇〇(下の名前)!」とグレネードを投げつけて爆破させ「それ御伽くんもやってたんだけど〜!」という超恥ずかしい場面もあった。皆さんはたとえ死んでも人にグレを渡す時にボケない方がいいと思います。

 

そんなこんなで計4時間ほど遊び、「じゃあ自分はこの辺で……」と言ってお暇した。彼女からあらためて「急に友達乱入しちゃってごめんね、またやろう!」みたいなLINEがきて、ちゃんとフォローもできるステキな人だな〜と思ったけど、ちょっとあの2人の掛け合いを見ちゃった以上、割って入るようなことは自分には難しいよな……。「こちらこそ!またお願いします」と返し、オンライン表示を消してコソ練に戻る僕だった。

 


先日友達と借りたレンタルルームで、退室後に管理人さんから「部屋の備品(ゲームソフト)がなくなっている」という連絡があり、「部屋の防犯カメラを調べたところ、黒髪で小太りのお友達が触っているようなのですが……」と言われた。十中八九、僕が疑われていた。
結局備品の紛失は管理人さんの勘違いだったので事なきを得たんだけど、あっ、やっぱ自分って側から見るとマジで太ってるんだな〜って思った。ただただ、人から「小太り」って言われただけのイベントだったけど、あらためて自分に対する忌憚のない意見が聞けて、むしろよかったとさえ思った。

兼ねてから薄々感づいてはいたものの、「自分ってもしかすると人から特になんとも思われないような、普通の見た目をしてたりしないかな?」みたいな、ささやかな期待を根こそぎへし折ってもらって、あらためて見た目以外の要素をちゃんと伸ばしていかなきゃいけないな〜という決心がついた。

人間関係で今以上のものを望むなら、見た目以外の部分で誰かにとって魅力的でないといけないし、特に変わらないままでいるなら「人から醜いと思われて生きている」ということを常にわきまえて行動しなきゃいけない。ふとした瞬間に自分がデブだったりブスだったりすることを忘れてはしゃいでしまうけど、はしゃぐデブほど見てられないものもないもんな。醜くてごめんだけど、自分としても人を不快にさせるのは本意ではないから……。頑張っておもしろくなったり、お金持ちになったりして、付き合うに足る人間になるから……。
と、梅雨を前にじめじめとしたことを考えては、Apexにぶつけるような日々ですね〜。