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当たり前だが、人とキスをしたことがない。今までそういうのと縁がなかったから。きっと、これを読んでる人の大半が「え〜おまえファーストキスまだなん?笑」とか思ってるんだろうけど、君も僕と同じ人生を歩んでくればキスのタイミングがただの一度もなかったことがわかると思う。僕は普通の人間として、僕用に形作られた人生を普通に生きてきて、普通の判断をしてきて、キスのキの字も出てきたことがなかった。

自分にキスの経験がないため、うっかりしていると他の人もキスなんてしてないもんだと思って話を進めてしまう。でも、大半の人が実はエッチをしたことがあるように、大半の人が実はキスもしたことがあるんだろう。そういうことを強く意識して人と接していかなくてはいけない。いや、僕は大丈夫、僕は純情だから、目の前にいる人がエッチしたことがあるかもしれないな〜って思っても、その人のエッチな様子を具体的に考えたりはしないし、同様にキスしてる様を想像したりもしない。僕は純情だから、「この人はキスもエッチも経験済みだろう」ということを字面だけで認識して、それ以上のことは考えたりしない。だから安心していいですよ。

 

たま〜に洋画とかを見ると、例によってモテモテの主人公が「いつの間にそんな関係に!?」ってぐらい唐突に女とキスし始めたり、感動するシーンでむちゃくちゃ長いキスをしてたりするので、すごいな〜と思う。あんなにキスしまくるのは本場である海外の人からしてもありえないことなのかなとも思うけど、でもあれだけ多用されるってことはそこそこ身近なもので、それでいて深い愛情表現の意味を持つものなんだろうな〜と考える。

 

ちょっと思い返してみたけど、僕は「生キス」すら見たことがないかもしれない。そもそもキスは人に見せるようなものじゃないのかもしれないけど。もう20年以上も生きているのに、これまでの人生で「キスは人に見せていい/見せちゃダメ」を判断する材料をひとかけらも得られなかったんだな。
ともかく僕は生キスを見たことがないわけで、知っているのは全部ドラマとか映画とかアニメとかで見る作り物のキスなわけだ。全部その……予定調和というか、例えばドラマであれば、星野源が朝起きて、「……あ〜〜〜……ッス〜〜〜〜〜」っつって布団から出て、「あ〜今日の収録アレだな、新垣さんとキスのシーンあるやつだな」って思って、いや、本当はもう前日の夜から思ってるかもしれないけど、まあそう思って、「とりあえず歯磨きは入念にしてった方がいいな」と思って、洗面所行って、電気つけて歯ブラシ取ってチャッって濡らして歯磨き粉つけてシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコシャコやって、7〜8分ぐらいシャコシャコシャコシャコやって、なんかこう、歯磨きやりすぎるのもちょっと意識しすぎててキモいのかなとか思ったのをやめるきっかけにして、うがいして口の周り拭いて、朝ごはん食べて、「あ〜朝ごはん食べたらまた歯磨かなきゃじゃん」っつってまた歯磨いて、着替えて、ガスと電気チェックして家出て、車なのか電車なのかわかんないけど乗って、「音楽でも聞くか……」と思って「恋 / 星野源」を自分で聞いて気持ち作って、「いや〜キスするんだな〜今日」って思いながら窓から東京の街を眺めて、スタジオ着いて、「お願いしま〜す」っつって入っていって、新垣さんもういて、「おはようございます、今日お願いします」って言って、新垣さんも「おはようございます、よろしくお願いします」って言って、「あ〜新垣さんもアレなんかな、一応歯磨いたりしてるんかな、でもなんか『私ともあろうものが一ドラマの一シーンの一俳優のためにわざわざ貴重な朝の時間を使って歯を磨くと思って!?』とか思ったりしてるかもしれないな〜、いやむちゃくちゃいい人だからそんなわけないな〜。こんなにいい人に対しても、こう、意地悪く考えちゃうな〜僕は」って思って、収録始まる前に台本の最終確認して、収録始まって、他の人の撮影とか見ながら「あの人も今日僕と新垣さんがキスするの多少気になってたりするのかな〜」って考えて、「じゃあ次星野さん新垣さんテストからお願いしま〜す」って呼ばれて、「は〜い」っつって、「あ〜今の僕の『は〜い』の感じちょっと明るかったな、今から新垣さんとキスするのむちゃくちゃ楽しみにしてると思われたかもしれないな」って思って、スタッフから「じゃあこのセリフまで、一旦テストでお願いしま〜す」って言われて、「これあれだな、キスした後も普通に続くシーンだよな」って思って、「え?これテストだけどキスも本当にやった方がいい?」って考えて、「いや、でもテストだからな……、これでカメラワークとか確認するわけだから本番と同じようにやらないといけないもんな……特にキスはお互いの顔が隠れるわけだからちゃんと見ておきたいだろうし……」と思って、「でもテストってことは確認ができればいいわけで、ここでマジでキスしにいって、周りのスタッフとか新垣さんが『いやテストからキスすんのかーい』って思ったらアレだな、あ〜もうこうやって意識しちゃってるのがキモいな」と思って、いっそ聞こうと思って、新垣さんに「あの、テスト……」って声かけたら新垣さんが「あ〜〜笑 本番と同じ感じでお願いします笑」って言うから「ウワ〜〜〜この人わかってたわ、僕のここ数秒の葛藤全部理解して気遣ってくれたよ、オッケーだってよキスして、テストと本番と2回キスしていいってよ」って思って、セット入ってテスト始まって、セリフ言って、演技入れて、見つめ合って、「わ〜〜〜新垣さんの顔、めっちゃ近いわ、あ〜〜〜〜キスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキス」

 

ちゅ♡

 

みたいな、いや、あのドラマを見たことがないからそもそもキスしてるのか知らないけど、まあおそらくそういう過程を経てお茶の間に届けられているような、全年齢向けの健全なキスしか、僕は見たことがないわけだ。

ただ、実際にあると考えられる本物のキスはこのような予定されたキスではなく、ドラマなどのストーリー上で描かれているようにお互いの気持ちのぶつかり合いの果てなどで唐突に行われるものなんだと思う。だから、本物のキスにおいては少なくとも片方、ひょっとすると両方が「いや今キスするんかーい」とか「いやなんも準備しとらんわーい」と思っているはずで、そこには準備をせずにキスをしてしまったが故の問題が生じているんじゃないかと考えられる。僕は生キスを見たことがないので、そういう問題が本当に起こるのか、起こった時に人はどう対処するのかを知らない。だからこそ、作り物ではない生のキスを見て、今後あるかもしれない自分のキスに生かしたいと思う。

 

今のところ、キスに対しては以下のような疑問がある。

①歯(鼻)当たっちゃわない?

よく「ウブな子の疑問」としてあげられるのがこの「キスする時歯とか鼻当たっちゃうんじゃないか問題」だが、僕はそもそもキスがどこをどのようにどのくらいの強さでどうするものなのかを知らない。いや、唇をくっつけるところまではわかるんだけど、その唇をどのぐらいの強度を持ってくっつけにいけばいいのか、緩く結んだままくっつけにいったら相手の唇と押し付け合った時にちょっと開いちゃうわけで、そうすると確かに歯が当たっちゃうよな。だからといって「口内絶対入らせないぞ」って勢いできつく結んでいくと、意外と唇周りの筋肉って強いので結構硬くなって、お互いの固めた筋肉をぶつけるだけになっちゃうし。口ちょっと開けてこう…コの字型というか、まあそういうのを作って、お互いちょっと斜めにしてカポっとはめ合わせるタイプのキスも見たことあるけど、これもなんというか、ちょっと狭い道歩いてる時に向かい側から歩いてきた人に道を譲ろうとしたら向かいの人も同じ方向に避けちゃって「ああ!はは……」みたいな感じで、顔斜めにする方向同じになっちゃってちょっとあたふたすることもあったりするんじゃないかという不安。

鼻だった場合も同じで、まあ真正面から顔ぶつけ合ったらそりゃ鼻がお互い当たってグニッといくはずだからたぶん顔を斜めにして避けなきゃいけないと思うんだけど、その斜め具合によっては鼻擦り合うぐらいのことはままあるんじゃないかと思う。そうなってくると、鼻ってほら、皮脂が分泌されやすいパーツなわけだから、こう…なんというか、皮脂を擦り付け合うことになるわけで、ちょっと抵抗ない?そういうの。別に人のをつけられるのは拭けばいいから僕は構わないんだけど、自分のをつけかねないのは申し訳ない気がするので、そこんところをどう折り合いつけてるのかが気になる。

 

②見ていいの?
キスをする時に目を閉じるのはよく見る演出だけど、アレってこう……「いや、見たくない?」って思っちゃうというか、キスする時ってお互いの愛が最高潮の瞬間のはずで、相手のことだけ考えてる瞬間のはずなのにそこで「相手を見ない」という行動が選ばれているのが不思議というか、それが"粋"ってやつなんだね〜というか、ワビサビって感じだあ〜と思う。正直理解できない感覚ではあるんだけど、確かに自分で想像してみた時に、この顔が目かっ開きながら近づいてくるのは相手からすると結構プレッシャーかかるよなと思って、じゃあ目を閉じるのも道理か……と思ったんだけど、でも待って、相手が目閉じてるなら自分は目開けててもわかんないからいいじゃんと思って、作り物でよくあるお互いが目を閉じてキスするやつがお茶の間で見ている僕のような「第三者の目線」(「うわっ、このキス片方は目閉じてるけど片方は目ギンギンでやってるよ……」と思わせないため)を意識したものであるかもしれないのだと思い至った。だから実際のキスにおいては目開けちゃってる人がいたり、あんまり気にしない人同士であれば普通に目開けてキスすることもあるのかなって。だいたい、見つめ合うこと自体が愛情表現になってるのに愛情表現の最たるものであるキスで目を閉じちゃうのはおかしいだろ。バカか。

 

③唇の湿り具合は?

唇は基本的に外気に触れるところなので、平常時でもまあサラサラ、冬とかだともうパッサパサになっている人が多いんじゃないかと思う。そういう人がいざキスをします!ってなった時、もうお互い相対していてもうキス待ったなしの場面で、「あっ、唇パサついてるな」と気づいてももうリップクリームとかはしてられないよなって。そうなってくるともう唾で湿らすしかないと思うんだけど、キス前に唇を湿らす行為が果たして常識的なことなのか疑問に思える。だって、たとえばなにか食べてる時に「ちょっと一口ちょうだい?」って言われて、その人が箸を持っていなくて、自分の箸を貸すしかないなって時に、一回その汚い箸しゃぶって綺麗にしますか?って話。唾で洗いますか?って話。それはちょっと……って思うでしょ、でもキスの場合は、それがアリな雰囲気もあるわけ。これから人の口に触れさすものを自分の唾でコーティングする行為ってどうなのかなって思って、でもパサついてる唇をぶつけにいくのも忍びなくて、リップクリームも間に合わない時、人はどうするのかなと思う。

 

④キスするぐらい顔近づけたらいろいろ見えちゃわない?
キスする瞬間は目を閉じるにしても、それより前の顔を近づけ合うところでは、見えちゃいけないデリケートな部分がいろいろ見えちゃわないかなって思う。男であれば、特に夕方〜夜にかけては「ヒゲ生えてきてんな……」とか、「顔の皮脂すごいな……」とか、「鼻毛出てんな……」とか、「鼻ボツボツだな……」とか。女であれば「ファンデーションコテコテだな……」とか、「肌意外と凹凸あるな……」とか、「鼻毛出てんな……」とか、「意外と顔にもまあまあ産毛生えてるんだな……」とか。異常に顔を近づけることになるわけだからそれはもうたくさんの粗が見つかるはずで、そういうの自分のも他人のも気になったりしないのかな、と思う。まあでも、お互いに生きている人間なわけだから、たとえそれが一般的には粗と言われるようなものであっても、自分のパートナーの生命活動の証としてこの目で確認して、まるっと包んで受け入れるのが、愛だよな、と思う。世の中的に言われている愛ってそういうのも含まれてるんだよな?綺麗に手入れした、外向けに作った自分しか見せないんじゃなくて、お互いの苦労とか恥ずかしい部分とかも好きなように打ち明けて、それを認め合うものだよな?愛し合ってるみなさん、そうですよね?

 

⑤どのぐらい口アレしていいの?
さっきの歯当たっちゃうんじゃないか問題に関連したところで、たまに「舌をレロレロやるタイプのキス」を見たことがあって、アレってみんな普通にやるものなの?と思う。いわゆる「ディープキス」というやつ、結構普通なのか、やるとしたらどのぐらいガッツリやるのかという疑問。個人的には結構ハードル高いというか……別に自分は潔癖のつもりもないんだけど、お互いの唾液が混ざるレベルでやるのはちょっと、なんというか、自分も申し訳ないし、まあたとえこう……好きな相手でもさ、お互いのパーソナルスペースというか、デリケートな部分はきちんとしておくのも大事なのかなと思うから。あとほら、唐突なキスであれば直前に飲み食いしたものの残滓が口内にまだあるはずだから、焼肉後のキスとかだったら「ん〜〜〜〜yummy」となるだろうし、本当にありそうなのはディズニーとかいった時の帰り際のキスとかさ、チュロ後のキス、ジュース後のキスとか結構アレじゃない?甘いもの食べたり飲んだりした後って口の中ちょっとベタベタするじゃん、あれ自分でもちょっと嫌なんだけど、他人のアレを口でアレするのは結構嫌じゃない?って感じで、気になっておりますな。

 

⑥タイミングと入り方は?
たとえ愛し合っているとしても、同意のないキスは犯罪になりかねない。キスは直接的な影響は少なくても精神的には大きな意味合いを持つ行為なので、果たして相手が本当にキスしたいのかを見極め、コンセンサスを取る必要があるんじゃないかと思う。友達の、おっぱいが大きい女の家でサシの宅飲みをして、女は結構肌見えるタイプの部屋着でちょっとドキドキして、4〜5時間ぐらいダラダラ飲んでたら結構酔っ払って、テレビ見てたんだけどもうおもしろい番組はあらかた終わって「どうする?配信とかみる?」みたいなことを口では言ってみるもののお互いそんな気はなくて、「あ〜じゃあ一旦綺麗にしようか」っつって空いてる皿とか箸とかを片付け始めて、「あ、ごめん、ちょいトイレ」っつって女がトイレに入っていって、「ふィ〜〜〜〜」っつって何往復目かの皿を流しに置いて戻る時、ジャーーーーーーーガチャっつってトイレのドアが開いて、廊下で二人が鉢合わせて、「あっ」っつってお互いの顔を黙って見つめ合う、女の目がちょっとうるうるしている、顔が赤い、あっ、好きだな……僕も、たぶんこの子も。そんな時間が5秒を過ぎたとしても、キスしていいかどうかは定かではない。これがどのぐらいキスなのかもわからない。作り物であればここは割とキスだと思うんだけど、実際のシーンではここでキスはまだ早いのかもしれない。そういう作り物と現実の間のギャップを埋めるためにも、キスがよぎった場面では「あの、今からあなたとキスをしたいと考えているのですが、ご都合よろしいでしょうか?」とちゃんと聞くのが、相手を尊重し自分自身も守ることができる、誠意と常識のある態度だと思うけど、これは無粋なんだろうか?手練れであれば言葉を介さずとも「ここでキスだな」が完璧にわかり、なんの間違いもなくキスを遂行できるんだろうか?

 

などなど、他にも何秒ぐらいやるの?とか、虫歯うつらないの?(本当に心配)とか、考えれば考えるほど新たな疑問は出てくると思う。こういう疑問ってなかなか聞けないし、みんなあんまり話さないからさ、今度会った時僕に教えてよ。本当は「そんな些細なこと、キスするぐらい愛し合ってる時にはどうでもいいんだよ!」みたいな回答を期待してる、「うわ〜〜〜〜スゲーーーーー!!!」って思いたいから。

1/2

12/21 オンライン研修で肩がバキバキ。ゲームしてごはん食べて終わり。

 

12/22 ゲームしてごはん食べて終わり。掃除をしたかもしれない。

 

12/23 バイト先でやった仕事に修正があったので昼に1時間だけ行って直した。現状僕しか担当がいないからこんな効率の悪いことになってるけど、実際はド素人なりに調べながらなんとなくやってるだけだしちょっと勉強すれば誰でもできる作業なので、早急に人員を増やして僕以外もできるようにほしいと思う。
その後1時間ほど歩いて新宿まで行き、途中のケンタッキーで昼ごはんを食おうと思う。性根が貧乏なので、マクドナルドと比べて割高なイメージを抱いているケンタッキーを食える自分がちょっと大人な感じがする。食いたいものを食いたい時に食えるのが大人なんだから。別にそこまでひもじい少年時代だったわけじゃないけど。
店に入ったら注文するカウンターと席が離れてる作りで、「今席空いてるか怪しいです」と言われる。そういえばこうして注文しようとしてる後ろで荷物を背負った運動系の活動をしているらしき女子大生二人組がカウンターをスルーして席の方に向かっていったなと。「すみませんけど、ちょっと確認してきてもいいですか」と言って見に行くとほとんど満席で、その女子大生二人組が最後の席につこうとしてたところだった。カウンターに戻って「すみません満席みたいでした」と伝えると「じゃあ持ち帰りに変えますんで」と言われ、その時はああそうですかとチキンフィレサンドのセットを注文して品物を受け取ったんだけど、店を出て「新宿のど真ん中で飯広げて食うとこなんかないじゃん」と気づく。僕は本質的に頭が悪いから思慮が浅いし瞬発力もない。だからいつもこういうことになる。
とりあえずケンタッキーを食べててもおかしくなさそうな公園にでも行こうということになり、さらに歩いて公園に着く。座れそうなところを見つけて、ちょっと冷めたセットを出して、隣のカップルの話を聞きながら「こんなムチャクチャな行動に人を付き合わせなくてよかった」と思う。5キロ歩いてふとケンタッキーを食べようとして店に入れなくて露天で冷めたのを食うハメになるなんて、自分はいいけど他人にはさせられない。そういうところまで無意識に想像力を働かせて人を不快にさせない付き合いができる力が隣のカップルにはあり、自分にはないんだなと思いながらチキンフィレサンドを食べてもおいしい。ポテトも冷めてもおいしいやつだし。カップルは都内のラーメン屋の話をし出して、混ざりてえな〜と思いながら耳を傾ける。別にさほど詳しいわけでもないけど、こんななりでやってるし一家言ある風を装って語りたい気持ちがある。それを行動に移すのがヤバいとわかる判断力がまだあるから止めてるだけで、いつか加齢に伴って倫理観のタガが外れ、人付き合いも減って感覚が麻痺していくと他人に声かける激ヤバおじさんになるんだろう。自分は潜在的におかしいところがあって、それを若さと少ない人付き合いの経験で律しているだけなんだと思う。先の人生、おかしくなる予定だけがある。
寒い中キンキンに冷えたアイスティーを飲みながら後悔してると、カップルと逆サイドにいたお母さん二人が連れてる子供が転んで、持ってたラムネを地面にぶちまけた。それをお母さんが素早く拾って子供に差し出し、子供がそこから食べ始めたので度肝を抜かれる。新宿の公園で平日昼間からピクニックしてる、決して貧しくはなさそうなお母さんも3秒ルールでいくんだなという知見を得る。
夜から予定があったのでどう時間をつぶそうか考えていると、友達から誘われて2時間ほど会って話すことになった。新宿駅の南口で待っていると若い男の人に話しかけられる。僕は宗教勧誘とか怪しい営業とか道がわからない人とか商品がどこにあるかわからない人に声をかけられやすいところがあると思っているので、またそうした意識を強める実績が貯まったなと思いつつ話を聞いてみると、年金についてのアンケートらしい。すぐ終わるというので答えてみることにする。「年金について不安はありますか?」と男性が聞くと、「はい」か「いいえ」で答えればいいだけのところを「あ〜そうですね、周りからはちらほら『年金だけじゃ心許ないから先々のために資産運用やら積み立てを始めてる』みたいな話が出てまして、僕もそういうのを聞いてると不安だな〜と……」と冗長に答えてしまう。「実際に行なっている資産運用はどれですか?」という質問にはやってる項目だけ答えればいいのに、「なるほど、この中には今実際に行なってるものはないんですが……。なんかちょうど最近知り合いから保険と合わせた積み立てみたいなものをやったらどうかと言われてまして……」とこれまた言う必要もないことを話してしまう。
こういう人によく言えば端的に、悪く言えば冷たく応えることができない。アンケートなんか長く詳しく答えた方が親切だと思ってるから、いらないところは適当に切ってくれと思ってできる限り答えてしまうんだけど、これが本当に尋ねている人のためになっているのか確かめたことはない。ともかく、一生会わないような人にも自分なりに親切にしてみせるのがやめられないのだった。
友達と会い、僕が好きなサンマルクカフェ(パフェが法外な値段で売られているから)に行き、2時間ほど話した。就活は結局、若々しさしか求められていないんだと気づくのが二人とも遅かったね、という話をした。
友達と別れ、また別の友達と夕飯を食べに行った。僕が行きたいと言った店で、「どこで知ったのか」と聞かれて「王様のブランチで」というのがすごく、すごく恥ずかしかった。店を出て、沖縄風居酒屋?に行き、初めて海ブドウを食べ、帰宅して寝た。


12/25 友達と集まり、ケーキを食い、プレゼントを交換し合い、飯を食って帰った。

 

12/26 起きて飯を食って掃除をする。ゲームをやってYouTubeを見る。夕飯がおいしかったので過剰に褒める。
この日見た動画→ https://youtu.be/bows_WAc98M
恥ずかしいけどね。

 

12/27 友達に呼ばれてボードゲームをしに行く。やる前に一緒に昼を食べる予定だったが寝坊したのでゲームから参加する。久々に真剣にものを考えたからか、帰ってきたら普段あまり変動のない体重がどっと減っていることがわかる。その後夜中までゲーム。

 

12/28 昼過ぎに起きて、YouTubeを見てゴロゴロしてたら一日が終わっていた。
この日見た動画→ https://youtu.be/8sZFBlq6lJI
恥ずかしいけどね。

 

12/29 2週間ぐらい前にバイト納めしたつもりが急に仕事を入れられたので出勤。後ろに予定があると伝えていたものの仕事がやや伸びてしまい、急いで終わらせて慌ただしく退勤。そのまま焼き肉を食べに行く。腹がはちきれそうなほど食べて帰宅。

 

12/30 昼過ぎに起きて、何もする気が起きず15時頃から活動開始。元日に雑煮を作ろうと思い買い物に出かけ、鶏肉の相場がわからなくて意外と高いんだな〜とか思う。その後ゲームをした。

 

12/31 昼過ぎに起きて、ごはんを食べてゲームしたりゴロゴロしたりする。家族間のお金の精算などを見届けて、紅白を見ながら夕飯を食べる。その後孤独のグルメを見ながら翌日の朝用の雑煮を作って、ジャニーズのカウントダウンを聞きながら年越し。その後はそこまで見たいテレビもなかったので寝た。

 

1/1 昼過ぎに起きて、やってるソシャゲの挨拶回りをして孤独のグルメ新春スペシャルを見ながら雑煮を食べる。その後ゲームをして、早めに夕飯を食べる。

 

1/2 さっき起きた。


普段SNSで高級飲食店の料理や地方の風景、高価な買い物、犬や猫、度数の高い酒を飲む女の友人、そして金沢駅の写真などをアップして大変充実した人生を送っているように見せている僕だが、このように何もしてない日も結構多い。「ゆうても遊んどるやん」と言う人もいるかもしれないけど、これは年末の遊びたい時期に周りの人に多少声をかけてもらったからで、自分から遊びたいと思って人を誘ったのは23日ぐらいのものだった。
12月に入ってからあまり人と会わなくなり、SNSで高級飲食店の料理や地方の風景、高価な買い物、犬や猫、度数の高い酒を飲む女の友人、そして金沢駅の写真をアップしたり、アニメやドラマ、バラエティやネタ番組の実況や批評をしている人を見て、僕の自己肯定感はゴリゴリと削れ、夜が来るたびに自分の嫌な部分が目につく日々を送っていた。人恋しくはあるもののこんな百害あって一利もない人間を人様に会わせることが申し訳ない、せめて理性が働くうちは僕という人間を閉じ込めておこうと思って人と会うことを避けようとしていたわけだが、結局人に会っちゃって自己肯定感を回復してしまい、大変安定したメンタルで年末に入ることができた。

 

やっぱりSNSは他人の人生の進捗が見えるからよくない。
他人が「料理食いました」とか「こんないいところ行きました」とか「こんなもの買いました」とか「エッチしました」とか「金沢駅です」とか投稿しているのを見ると、人生を色濃く前に進めているな〜と感じてしまう。昼過ぎに起きてゲームして負けてイライラして冷蔵庫何度も開け閉めしてYouTube上の女性を愛でていたら夜になっていたような薄味の一日を過ごした後にそういうのを見ると特に劣等感が煽られ、素直に「憎い」と思う。自分がたまに楽しいことをした時は何も考えてないけど、人が楽しそうなことをしているようだと「お願いだから痛い目見てほしい」と思ってしまう。先輩でも後輩でも、男でも女でも関係ない。一回僕と体を入れ替わってもらって、一日中家から出ず、さしてやることもないセルフ拘置所生活で醜い身体と心を今後ずっと抱えて生きていく絶望を深ーく感じてもらって、「お願いだから元のキラキラの生活に戻してください」と泣いて詫びてほしいな〜と妄想している。これを見ている人、今後そうした充実感あふれる投稿をする時にはそういったことを考えている人間がいることにも留意するように。

 

今年は「愛される」を目標にしようと思う。愛されていると自己肯定感が増してより積極的に人と関わっていけるようになり、いいサイクルに入れる気がするから。
今もたまに人と会ったりして多少なりとも時間を割いてもらっているわけだから、耳かき一杯程度には愛されているのかもと思うが、それは本当に時間をかけて自己肯定感をかき集めて、なんとかかんとか人ひとり連絡つけて「め、飯とか、行こうか……?」が成功した結果であって、有り余るほどの愛情を受け取って自己肯定感たっぷりのメンタルで前のめりにお送りする充実の日々!みたいなことはまだできない。
愛されるためには、何か人を惹きつけるだけの魅力が必要になる。見た目がいいとか、センスがいいとか、会うたびに1000円くれるとか。武器を探し、見つけ次第振るう一年にしようと思います。

12/21

クリスマスに年末年始と人肌恋しい季節になってきたものの、相変わらず一人でいて、もはや涙の一つも出ない。こういうイベントシーズンに独り身でいるのは寂しいことだよね〜みたいな論調ってまだ一般的なものなんだろうか。そういうのでおどけてみせるような人ももう周りにいなくなったような気がする。

 

今年はほとんどの人が様々な活動を制限され、停滞の一年となったわけだけども、自分に関してはその場に留まるばかりかむしろ少し後退したような気さえする。太ったし、しばらく働きもしなかったし、人とも会わなかったし。僕は「デブならせめて明るく」をモットーにしてるのに、こうした期間を経てなるべく抑えていたはずの根暗怠惰デブとしての本性が再び現れてきてしまった。
そう、僕はもともとこういう人間だった。何かを頑張る力とか続ける力が決定的に欠けていて、ゴロゴロしたり、瞬間的な快楽に浸ったり、人を貶めたりするのが大好きで、常に頭の中は邪で浅はかな思惑でいっぱいの人間だった。少しでも人に好かれたいから外では明るく人もいい人間を努めてやろうとしているだけで、家では布団の中でネット上の人の悪意を見てるだけで本当に一日が終わってしまったりするような人間だった。それがこの期間でよくわかった。自分は外面だけはいいかもしれないけど、内面はとても汚くて人様に見せられるようなものではないと。
きっと仲が深まれば深まるほど、内面が隠し通せなくなっていき、冷たくずうずうしく常識もない本性を晒してぶつけてしまうんだと思う。そんな奴が最も仲が深い存在である彼氏彼女なんて作ろうもんならとんでもなくひどいことをしてしまう恐れがある。

 

彼氏彼女と言ったけども、万が一僕の醜い外見や汚い内面を全部チャラにして「付き合ってあげるよ〜ん」みたいな人が現れた時(もうそれは介護だと思うんだけど)、別にそれは男でもいいんじゃないかと考えた。前に友達と話していた時に「今自分たちに必要なのは彼女というよりは生存確認と無償の応援をしてくれる人だ」みたいな話になり、別にそういうことをしてくれる人が女である必要はないなと思った。
どうしようもなく辛かったり寂しかったりする時によく「自分がもう一人いたら」と想像するけど、その時に思い描いているのは自分の脳みそ以外で生まれた言葉で僕を褒めてくれたり、たまに僕の趣味に付き合ってくれるシーンだったりする。「無償の応援」にあたることをしてくれる存在として、何よりも嫌いな自分自身を呼び出す程度には、そういうことをしてくれるのは誰でもいいと思っている。
それに僕は異性愛者だけども、付き合う人にあんまり性的なパートナーになってほしいと思わない。性欲は自分でどうにかできるし、他人の身体と絡んで何かあると怖いし。そうなってくると女でも男でも関係なく、仲良くできればよかろうということになってくる。
今抱えている尋常じゃない心の渇き、「誰か俺が頑張って生きてるのを見てくれ!」という気持ち、そういうのを満たすのは別に男でも務められるし、自分も他の男のそういう存在になれるんじゃないかと思った。

 

とは言いつつも本当は、できるだけそういうことは女にやってほしいと思う。こればかりは説明がつかないんだけど、自分は男より女の方が接する時にときめくから。女なら誰でもうっすら好きだから。
女と接する時はいつだって「これはある」と思って、かなり強めに「好かれたれ!」と思って、「やーん♡めっちゃいい人〜♡もっと仲良くした〜い♡」と思われればいいなと思ってる。そうやって騙した誰かと付き合うようになって、普段はツイートしたところでいいねの一つもつかないような、どうしようもないバイト先の愚痴とかを聞いて「ひ〜ん、かわいそう!大変だったね……!」って言ってくれればよいと、誰でもいいからそうなってくれと思ってやってる。だってもうこっちはバロメーターもグラデーションもなくみんな一律に好きなんだから。
で、いざ仲が深まってもこっちは先ほども言った通り近づくほどに冷たくずうずうしく常識もないとバレてしまう人間だから、きっとすぐに嫌われてしまう。せっかく自分を助けようとしてくれた人にひどいことをするところまで見えている。
自分がこういう欠陥を抱えている人間だとわかっているから、今は誰かと必要以上に仲を深めたいと思わないけど、しかし時々自制心が負けて、人と、女と仲良くしようとしてしまう。

 

だから、これを見ている知り合いの男性のみなさん、どうか僕を軽蔑してください。

これを見ている知り合いの女性のみなさん、どうか僕に気をつけてください。
僕は本当になけなしの、ハリボテの人の良さを恩着せがましく押し売って自分が辛い時のケアをさせてやろうと思っている人間です。あなたを利用してやろうという邪な思いでいっぱいです。声をかけられた時はその態度が先々の自分を守ると思って、容赦のない嫌悪感を持って毅然とした態度でNOを突きつけてください。「僕と仲良くしてくれ」は全て詐欺です。
もう僕は自分では止められないので。こうやって生きていくことしか知らないので。

 


僕と仲良くしてくれ。

 

 

今年も一年おつかれさまでした。

12/4

「じゃあ次の会の日程調整しまーす、○日空いてる人手あげてください!あーはいはい、結構いますね。じゃあ□日空いてる人は?あーもう絶対開催できないですね。じゃあ△日空いてる人!あ、この日も何人かいますね……」

で、僕ずっっっっっと手下げてる。最近はときどきオンライン研修みたいなのがあってその締めがこの日程調整なんだけど、ただただ暇であることがバレるこの時間が本当に情けない気がしてくる。嘘でも手あげちゃおうかと思えてくる。一ヶ月以上先のことを聞かれてるのに、みんなどうしてこんなにも予定があるんだろうと思う。

 

僕の生活の中で起こるイベントはせいぜい2〜3週間ぐらい先までしか決まっていない。アーティストのライブとかなったらまた別だけど。別に2〜3週間先が予定まみれというわけでもなく、ぽつーんとイベントの日、ハレの日があって、それ以外はもう全部ケ、ケだらけモフモフのスケジュールとなっている。
1ヶ月後自分が何してるかなんてまるで見当がつかないが、まあおおよそ家でゴロゴロしてるだろうから、そんな先の予定を聞かれたところできっといつでも大丈夫ですよ、あんたのために空けときますよと答えるしかない。

 

人を引っ張っていくような人は物事を大局で見ていると聞くし、スケジュール感もまるで違うという。今日明日ではなく、数週間、数ヶ月、数年単位で物事を見ているのだと。自分が今いる場所がある一つの仕事の中なのか、ある一つの集団の中なのか、ある一つの社会の中なのか。ミクロな視点もマクロな視点も持っているから、すぐ前だけ見て生きている凡人を束ねて行先を決められるのだと。これはまあ、自己啓発本っぽいかっこいいことを言いたかっただけで、特に引用元も意味もないんだけど。

 

ともかく僕は、今日も明日もその次の日も、そのまたずっと先の日も、ただただ地続きにやっていくようにしか思えなくて、メリハリもなければプランもない。今年中に○○の資格を取ろうかな!とか、□歳までにはこういう生活の状態に持っていきたいな!とかがない。
周りは時間が経つほどに僕の扱いを変えてくるかもしれないし、僕の生活に関わるようなイベントを起こしてくるかもしれないけど、今のままでは自分から「こういうプランを持って、そのために段階を踏んでイベントを作っていこう」みたいなことをしない人間になってしまうと思う。

 

嫌なもんで最近稀に人と人生設計の話をするようになったり、保険やら積み立てやらの話を聞くようになったんだけど、いつまでに結婚とか、いつまでに家をどうするとか、そういう大人向けのイベントに対してまるで実感がない。2〜3週間ぐらい先のことしか考えられない人間に、そういう長いスパンでもって進めなきゃいけないことの話をされても困ってしまうんだよな。
今は特に同じような怠惰な日々の繰り返しだから、数年後に見違えるほど素晴らしい自分でいることを想定した話が進められるとボタンを押して止めたくなる。10年後も元気に稼ぎ、払うべき金を払い、果たすべきことを果たす自分なんて誰が保証できるんだろう。少なくとも僕は何の保証もできないんだけど、僕以上にできる人なんているわけもない。大人になるっていうのはそういうことでもあるんだろうな。保護者ってものがいなくなって、もうなんでも自己責任でやっていかなきゃいけないんだな。わかったわかった。よーくわかった。

 

話は戻って、みんな一ヶ月先まで予定入れてる問題がやっぱり気になって、僕もなんかたくさん予定を入れようかなと思った。「あーその月割と忙しいんですよね、ま、遊び回ってるだけなんですけど!」って言いたいから。

時節柄難しいかもしれないんだけど、王様のブランチで見て行きたいと思った場所のチェックリストはまだたくさん残ってるから、それを埋めようと頑張ってみてもいい。夜中にいきなりもう3年ぐらい会ってないやつに「いつ空いてるの」ってLINEして遊びに誘ってもいい。何かと忙しげでムカつく人間、その一歩目を始めてみようかなと思いつつ、今とかはもうめっちゃゴロゴロして、YouTubeで本当に見なくてもいい動画見てる。おもしれ〜〜一生これでいいな。

 

https://forms.gle/HdRpTTryHYwBRyV17

10/24

もう付き合う人間がだいたいいい大人と言われ出すような年齢になってしまって「みんなでごはんでも行こうか」となった時にはまあ飲み屋か、寿司、焼肉といったお高めの店なんかが候補に上がってくる。

だけども僕は時々、「本当はシェーキーズに行きたいのにな……でもみんなお酒飲みたそうだしな……ピザとパスタ食べ放題なんだけどな……」という気持ちを抱えたりしていて、でもそんなことが言えるわけもなくて、まあ行ったら行ったで別の店もしっかり楽しくて、やっぱ良かったな~なんて思って帰宅する。

帰ってきて、お風呂に入って、布団の中でぬくぬくしながら、いややっぱりシェーキーズも行きたかった。友達に「店どこがいい?」って聞かれた時「どこでもいいよ〜」なんて答えていたけど頭の中はピザとパスタでいっぱいだった。池袋のあのロッテリアの隣のシェーキーズにこのメンツで入る様子が頭に浮かんでた。とりあえず候補にあげてみればよかった。なんとなく抵抗がある食べ放題の値段感、時間制限の窮屈さ(ディナーバイキングは時間無制限らしいけども)、大人数だと入れなかったりするけど人数少なすぎてもイマイチ盛り上がれない感じ、「第一もう『たらふく食って満足』のエンタメは卒業しちゃったよ」といった様子の周りとの意識のズレ、いくらでもハードルは思いつくけれど、この「ごはんどこ行くレース」に出走させてみるだけでもよかった。うんうん考えながら、満腹なのでやがて寝るようなことをしている。

 

そもそもそんなにシェーキーズに行ったこともないような気がする。池袋東口店のほかには、以前高田馬場にあった頃に行ったかもしれないぐらい。新宿店も行ったような、いや前を通っただけのような。どれも中高生の頃で、ここ3〜4年は行ってないし、行ったらどうなっちゃうのかもわからない。

別に周りにそんな人いないけども、「や、食べ放題って別にそんなおいしくないじゃん、もっと旨くて値段もそこそこの店普通にあるからそういうとこの食いなよ笑」みたいなことを言いながらこってりフォン・ド・ヴォー仕立てのミートソースパスタをチュルチュルの奴には「ボケがーーーーー!!!!!!!!!!!!」ってマヨネーズミリミリミリミリミリミリ、クラフトパルメザンバサバサバサバサバサバサ、食いさしバクバクバクバクバクバク、肩ユサユサユサユサユサユサ、「おなかいっぱいなんがおもろいんじゃーーーーーい!!!!!!!!!」みたいな気持ち、気持ちだけで本当にそんなことはしないけど、俺はまだそういう気持ちでやってるよ、大丈夫だよと中高生の頃の自分にも伝えてあげたいなと思う。

 

うちは家族にパスタが嫌いな人間がいるので食卓に滅多にパスタが出ない。自分で勝手に作ったりしたのを除けば10年以上は出てないと思う。だから基本的にパスタはちょっとだけ憧れの対象で、同じ麺類でもラーメンやそば、うどんとは別格に置いているところがある。ペペロンチーノは本来貧乏な人の料理だとヤマザキマリか誰かが言っていたけど、僕からすれば普段は食えないごちそうに思える。
人よりパスタ経験が浅いことは、もしかするとコンプレックスになるのかもしれない。
「プププ、お客様、そちらのカルボナーラは食べるためのものではなくて、指を洗うためのものでございます……w」「え?これで指を……?っ、熱ぅ!」でビストロ中が大爆笑、指ベトベト、僕顔真っ赤、なこともあるかもしれない。
イタリアンが並んだテーブルで僕がオロオロしていると、少し歳上のギャルめなお姉さんパスタが笑いながら近づいてきて「どうしたの?めっちゃ挙動不審だけど笑 あー、イタリアンとかあんま慣れてない感じ?笑」「あっ、ハイ……すみません」「え、なんで謝るん笑 じゃああたしテキトーに前菜持ってくるからさ、ちょっと待ってなよ。あんま他のパスタジロジロ見てちゃダメだよ〜?」う~ん、好きだ……と思ったのもつかの間、お姉さんパスタが明らかにイカつい肌色に入れ墨をチラつかれた彼氏パスタ、すなわちイカ墨パスタを連れてテーブルに戻ってきて絶望、また踊らされた、バカにされたんだ……と思うこともあるかもしれない。
大親友の彼女の連れが作ってくれたおいしい……おいしいこれ、なんですか?めっちゃおいしいんですけど……。この……麺?見たことない感じの麺だな……。味付けも洋風な感じで、うどんでもラーメンでもない……「え、ちょっと、もしかしてパスタ知らないの?笑」で非常識が露呈して理不尽ないじられキャラが定着、ゲーム開始時から大貧民スタートにされてマジギレなこともあるかもしれない。

 

とにかく今は、取りこぼしてきた青春を拾い集めるように、パスタを食べたい。

バイノーラル創作昔ばなし『眠り火消し』(仮)

「火事と喧嘩は江戸の華」なんてことを昔から申しますが、江戸というのはそれだけ騒がしく、いつも何か事件が起こっている街だったといいます。

そんな中でもやはり火事は特別多かったものですから、八代将軍吉宗の頃には「町火消し」という今で言う消防団のようなものが作られまして、火事が起きた時には血気盛んな男たちが飛んできて消火にあたったということです。

 

これはそんな町火消しの男のお話。

 

江戸の町火消し、いろは四十八組は「み組」に世之介という男がおりました。
この世之介なかなか優秀な火消しでして、ガッチリとした体つきからは想像もつかない鹿のような軽やかさで、

「火事だー!!!!!!」

なんて半鐘がカーンカーンカーンと鳴るが早いか、纏を担いで一番乗りで現場に駆けつける頼もしい男でございました。


しかし江戸の火消しというのは何をしてても火事があれば呼び出される、気の休まるところの無い仕事でございます。


朝飯時に「ようし、それでは飯をいただくかな、いただきま」カーンカーンカーン!!!

銭湯で「ちょいちょい、そこの坊主。背中流してくれ」カーンカーンカーン!!!

夜中に「んんっ……んごっ」カーンカーンカーン!!!

 

といった具合に昼も夜もなく駆り出される生活をしてるうち、世之介にはある悩みが生まれました。

 

世「よう、長五郎」
長「どうしたい、世之介。なんだか景気の悪そうな顔じゃねえか」
世「それがよう、俺たち火消しってのは、何してても火事があれば呼ばれるだろ?」
長「そうだな。俺なんかこの間、かみさんと乳繰りあってるところで呼ばれちまってよ、褌締め忘れて出てきちまったよ」

世「バカだねえ、おまえは。それにしたってよ、俺もいつ呼ばれるかわからないってんで、最近夜なかなか寝付けなくなっちまったんだよ」
長「寝付けねえって、赤ん坊じゃあねえんだからよう……でもわかるぜ、俺たちゃ夜中でも火事があれば叩き起こされっからなあ。一晩中かかって、やっと終わって、帰って寝る頃にはもう昼だもんな」
世「だろう?そうやって眠る時間が昼だったり夜だったりコロコロ変わってくると、だんだんとなんでもない夜に寝るのが難しくなってくるんだよ」
長「それじゃあよ、それこそ赤ん坊みたいに寝かしつけてもらうってのはどうだい?おまえのかみさん。頼んでみりゃあいいじゃねえか」
世「はつにかい?バカ言っちゃいけないよおまえ、そんなこと頼めるかい」

 

その場では笑った世之介ですが、火消しの詰所から長屋に帰ってくる頃には、やはり少し頼んでみようかという心持ちになっておりました。

 

世「はつ、今戻ったよ」
は「あらあ、おかえりなさい。ご無事で何よりでした」
世「腹が減っちまった、飯あるかい?」
は「すぐ支度できますんで、休んでおいてください」

 

は「はい、おまちどうさまでございます」
世「よしよしよし、じゃあいただこうかね」
は「それでは私も、いただきます」
世「……おまえよ、赤ん坊寝かしつけたことってあるかい?」
は「赤ん坊……ですか?そうですね、歳の離れた弟がおりましたから、よく寝かしつけておりましたよ」
世「そうかいそうかい」
は「どうかなさいました?」
世「いやね、どうも近頃はよく眠れないもんで、それを長五郎に話したらはつに寝かしつけてもらえって言うもんだから」
は「ああ、それで!では私が寝かしつけて差し上げますから」
世「いやあ、そりゃ頼めないよおまえ、俺は赤ん坊じゃあないんだからよう」
は「眠れないんじゃ火消しの仕事もままなりませんよ。私におまかせくださいな」

 

いつもはなかなか弱音を吐かない旦那の悩みを解決したいということで、はつは夕飯を食べ終えるやいなや、えらく気合いの入った様子で何やら支度をしておりました。

 

その日の夜九つ(午前0時)頃、世之介は布団に入っておりまして、またどうにも寝付けないとうんうん唸っておりますと、ごそごそっと音を立てて、はつが世之介の枕元に参ります。

 

は「世之介さ〜〜ん、起きてらっしゃいますか~~」
世「うわあ!はつ、そんな耳元でこそこそ喋るんじゃあないよおまえ、背筋にぞわっときたよ」
は「起こしてしまっては悪いかと思いまして。眠れないのですか?」
世「そ、そうだなあ……」
は「それでは私が眠るお手伝いをいたしますから、私の言うことに従ってくださいな」
世「そうかい……?それじゃあお願いしようかな……」
は「はい!それではまず、呼吸を整えましょう」
世「お、それらしいじゃねえの。眠るためには息が大事なんだね」
は「じゃあまず、大きく息を吸って~」
世「はいはい、すぅ~~~〜〜〜」
は「吸って〜〜」
世「すぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
は「吸って〜……」
世「すぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(まだかい?)」
は「すっ……」
世「すぅ〜〜〜〜〜〜〜……っはぁっ、ちょ、もう無理だ、吸うのが長すぎないかい?おい?は、はつ?はつさん?」
は「…………んあ、は、はい!?あれ?世之介さん?起きてらっしゃいますか?」
世「そっくりそのままおまえに聞きたいね、はつさん今寝ちゃってたね、振り出しに戻っちゃってるもの」
は「は!ごめんなさい、眠ってもらうための準備をしていたら私も疲れてしまっていたみたいで」
世「いやいや、構わないよ。今日はもう大丈夫だから、おまえも眠りなよ」
は「そうはいきません!世之介さんに寝てもらうのも私の仕事でございますから!」
世「こりゃまた偉く気合が入ってるね。じゃあお願いするけども、無理はしないでくれよ」
は「それでは先程の続きから参りますね。呼吸は深く長くするのを忘れずにやってもらいまして、耳元でいろんな音を出しますんで、それを聞いていてください」
世「いろんな音?うるさくっちゃあ俺は眠れないよ」
は「それが、世の中には聞いていると心が休まる音というのがございまして、そういうものに耳を澄ましているうちに寝てしまうことがあるんですよ。今回は私がそうした音の出るものを持って参りましたので、まあ何も言わずに聞いていてくださいな」
世「なるほどね、ひとまずやってもらおうじゃないの」
は「まず1つ目はこちらの紙でございます。こちらを叩いたり、擦ったり、破ったりいたします」

 

ぱさっ

 

たたん たたん たたん

 

たたん たたん たたん

 

ぱさっ

 

さすさすさす さすさすさす

 

ぱさっ

 

さすさすさす さすさすさす

 

びり びりびり びり

 

は「いかがですか~、続きましてはこちらの椀を使いまして、」

 

ここん ここん ここここん

 

かぽっ……

 

こぉぉーーー……

 

ぽわっ

 

といった具合にはつが耳元で様々な音を立てますと、普段はなんでもない音が、耳を澄ませているとどういうわけだか良い心地。聞いているうち、いつの間にやら世之介は眠っておりました。

 

世「んんっ、……と、よく眠れたなあ……」
は「あら世之介さん、おはようございます。いま朝飯の支度ができますので」
世「おお、そうかい。寝起きがいいから飯もよく食えそうだ。はつのやってくれた音、ありゃすごいもんだね」
は「大したことはしておりませんよ。またいつでもして差し上げますから」

 

旦那の役に立てたと嬉しそうなはつ。その様子を見た世之介、その後もちょくちょく寝かしつけを頼むことにいたしまして、ひと月ほどが経ちました。

 

世「はつ、相変わらず悪いけども、ちょいと今夜も頼めるかい」
は「もちろんですよ。それでは本日も……」


はつが世之介の枕元にすすーっと来まして、今日は手ぬぐいの音から始めようとしたその時、

 

にゃーーお

 

長屋の扉の向こう、裏路地から猫の声がしてまいります。

 

にゃーーーお にゃーーーお

 

すさ……さささ……

 

んにゃーーーーお、んにゃーーーーお

 

はつが揉む手ぬぐいの音をかき消すほどの、盛った猫の声。
しかし世之介、ひと月も様々な音を聞いておりましたので、

世「(なるほど、これも眠るための音か)」

と聞き入ります。なんだか騒がしい様子ではありましたが、その日も散々働いてきたのもあって、世之介はいつの間にか眠ってしまっておりました。

 

またある日。

は「それでは本日もはじめますね……」

 

じゅわっ じゅわっ

 

じゅわ~〜~〜~

 

こお~〜~〜~〜~〜~

 

と、はつが音を立てておりましたところ、

 

「こらっ!またおまえは寝小便して!」
「ひぃ~〜~〜ん!ごめんなさい~〜~〜~!!」

 

それをかき消すように聞こえてきたのは、長屋の隣の部屋の声。
どうやらそこの坊主が寝小便をしたようで、それに気づいた母親に叩き起こされ、わけもわからず怒られているようでございます。
しかし世之介、

 

世「(なんだい、今日の音はえらく騒がしいじゃねえか。まあこういうどこにでもありそうな会話の音ってのも、効果があるんかねえ……)」

 

なんて思いまして、眠り込むためうんうん頑張ります。はつが水か何かの音をたてているのも気づかず、隣の母親の叱る声を聞いているうち、世之介はまた眠ってしまっておりました。

 

江戸時代の長屋は壁なんてあってないようなものですから、このようにいろんな音が聞こえてまいります。猫の声、犬の声、隣の家の声、向かいの家の声、通りの喧嘩の声、酔っぱらいの声。
世之介はそんなものをわざわざ耳をそばだてて聞いて、無理やり眠っていたわけでございます。

 

そしてまたある晩。
はつ「それでは今夜もお願いいたしますね……」

 

ぴちゃっ ぴちゃっ

 

ちゃっ ちゃっ ちゃっ ちゃっ ちゃっ ちゃっ

 

ぽたっ…… ぽたっ……

 

……ぱちぱち……

 

……ぱちぱちぱちぱち……

 

……かーん かーん かーん かーん……

 

……あっちだ…… はやく……

 

……ごぉぉぉぉぉお……

 

世「(なんだか今晩はやけに聞いたことがあるような……まあこういう聞き慣れた音もいいもんだね……)」

なんて思っているうち、世之介はまた、眠ってしまっておりました。

 

明くる朝。
目を覚ました世之介の目に入ったのは青い空。しばらくぼうっとしておりましたがやがてこりゃおかしいと飛び起きまして、辺りを見回します。すると目の前には、真っ黒に燃えた建物。隣には敷かれた藁の上ですうすう眠っているはつ。混乱した世之介は瓦礫を片している火消しに声をかけます。

 

世「おっ、おい、なんだいこりゃ!一体何があったんだい!?」
火「何っておまえ見りゃわかるだろう、火事で長屋が燃えちまったんだよ。まあ幸い中にいたもんは全員無事だったけどな。それにしてもおまえと嫁さんはあんな火事でよく起きなかったね。周りのもんがみんな逃げ出してる中、部屋の中で二人して眠ってるもんだから慌てて担ぎ出したんだよ」
世「そ、そうかい……そいつは世話になったな……」

なんとか命拾いした世之介とはつ、すぐに新しい家も見つかりましてまた元通りの生活が始まったわけですが、何やら世之介には一つ問題ができてしまったようで……

 

カーンカーンカーンカーン!!!!

火事だあーーーーー!!!!

世「よしきた!」

 

纏を担いで火事の現場へ向かう世之介。「み組一番乗り」の通り名に恥じない速さで燃え盛った建物の前まで来たところで

 

世「よしっ、それじゃあ……すぅ……すぅ……」

 

その場でばたりと倒れ込み、眠り込んでしまいます。

追いついた長五郎ほか、み組の他の者が消火にあたりますが世之介はそんなこともお構い無しに寝息を立てております。
なんでも世之介、はつの寝かしつけの音を聞いているつもりがずっと別のうるさい音を聞いていたために、いつの間にやら「大きな音を聞かないと眠れない」ようになってしまっておりました。特にこの間の火事からこっち、火事の音を聞くと特別眠くなってしまうようでした。

 

長「親方、世之介のこれは一体どうしたもんかねえ……」
親「……最近は街で喧嘩を探しては隣で眠り始めるもんだから、みんな気味悪いってんで騒がしいのがめっきり減ったらしい。火事と喧嘩は江戸の華とはよく言ったもんだが、火事より喧嘩を消して回る火消しなんか聞いたことがねえな」

 

なんてぼやく親方の足元、纏を抱きしめた世之介は大層幸せそうに眠っておりました。

10/7

小学4年生か5年生ぐらいの頃、財布を拾ったことがある。

 

その頃の僕は塾に通っていて、自転車でだいたい家から10分ぐらいの距離を一人で行き帰りしていた。
夕方から授業が始まって、自習室を使って帰る頃にはだいたい夜8時か9時。おいおいそんな時間に小学生が一人で帰るのかよ、と思うかもしれないけど、まあ本当に一人で帰っていた。

 

その日も自転車で塾から帰っていて、ちょうど家と塾の真ん中ぐらいのところにある公園に差し掛かった時、生垣の上にてかてか光るものが見えた。
なんだろうとスピードを落としてじっと見ると、それが財布だとわかった。赤色のつやつやとした質感の長財布。
もしかすると誰かが落ちてるのを見つけて、どこかに届けるのも面倒だったから見えやすいところに置いておいたのかもしれない。
たしかこういうのって警察に届けたら持ち主からお礼がもらえるんだったよな、とか思いつつ、極めて邪な気持ちで自転車を降りてその財布を手に取ってみた。僕が当時持っていたペラペラの財布とは違う、厚みと重みのある財布。
どう考えても大人の財布だった。

 

手に取ったあとに気づいた。これ、どうすればいいだろう?
きっと今これを探している大人がいるわけで、その大人が今にも僕を見つけて、おい!おまえ金を抜いただろう!とか言われたらどうしようか。
財布と見せかけてもっとヤバいものが入っていたら?それを狙うマフィアに殺されるかもしれない(当時REBORNのアニメとかやってたので)。
考えているうちにどんどん怖くなってくる。「手に取ったのにアシがつく」ってなもんで、こうして拾って、べっとりと自分の指紋をつけてしまったからにはもう僕はこの「事件」(ただ誰かが財布をなくしただけの事件)に巻き込まれてしまったんだ。
持ち帰って警察に届けても、持ち主が僕に金が減ってるだのなんだの、あらぬ疑いをかけてくるかもしれない。
置いて帰っても、他人の財布を投棄したという罪を咎められるかもしれないし、あるいは「中身を見た疑い」から危ない組織にその命を狙われるかもしれない。
そう、この財布を手に取った時点で詰みだった。

 

とにかく、安心したいと思った。
置いていくか、持ち帰るか。それを決めるために、中身を見てみようと思った。
そして、財布を開けてみた。
まず目に入ったのはポイントカード。最前面のポケットに段々に入っていた。緑色のポイントカードが1番上に刺さっていたのを覚えている。
その後ろのポケットには固いカードもあったような記憶があるから、クレジットカードかキャッシュカードもそのままだったんだろう。小学生の僕にはあまり馴染みのないものだったので流し見て、紙幣のポケットを見てみる。

パッとは数えられないほどの1000円札、たぶん10枚前後はあったんじゃないだろうか。1万円札が5枚。これは枚数を数えて、当時の僕ではなかなかお目にかかれない大金だと思ったのではっきりと記憶に残っている。

 

ざっと中身を見たところで、財布なら身分証が入っているはずだと気づいた。カードのポケットを探してみるとクレジットカードと並んで免許証があった。

 

 

なめ猫免許証が。

 

 

なーんだ、これなめ猫の財布か。
道理でなんだか獣臭いわけだし、よくよく見たら緑のポイントカードはペットのコジマのやつだった。そういう店も自分で行くんだ、と思った。

なめ猫ならそこまで怖がることもないかと思い、家に持ち帰ることにした。


母に「財布を拾ったよ」と伝えると少し驚いて、じゃあ明日代わりに警察に届けてくるよと言ってくれた。「ちなみに」僕は付け加えた。「なめ猫本人の財布だよ」すると母は「あ、じゃあ保健所の方がいいのかな」と考え込んでいた。

確かになめ猫は猫なわけだし、保健所の管轄というのも一理あるが、この場合は警察に届けるのが正解らしい。

免許証も発行されてるレベルの猫なら人と同じ扱いだと思ってもらって構わない、と警察の人に言われたという。

 

かくして、なめ猫の財布は無事警察に届けられた。


一応こちらの連絡先も伝えておいたら、後日なめ猫からお礼の品としてお中元とかでもらえるようなカルピスのセットが届いた。なめ猫は普通の猫に比べて義理堅いと言われているけども、最早そういうレベルではないぐらいに、人以上にしっかりしているんだな、と思った。

 

 

みたいな感じで、最近こういうおもしろくもないモロバレのホラが止まらないことがあって、どうすればいいのかな、と思っている。