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この歳になって、色々とこだわりというものが欲しくなってきた。
毎週読む雑誌が欲しい、行きつけの店が欲しい、飯のはっきりとした好みが欲しい。

 

こだわりっていうのは余裕の証だ。
前にテレビで中尾彬が「この店のそばがうまいんだよォ〜」みたいなことを言っていた、あれが僕にとっての「こだわり」の原風景だと思う。その後、中尾彬に僕がそばを食えないことをなじられる夢(僕は後天的なそばアレルギーで小学5年生ぐらいから食べられなくなった)を見て、ものすごく悲しくなったのを覚えている。
ともかく、これしか見ない、着ない、食べない、行かないっていうのができるのは僕にとって成功した人だけに許される勲章のようなもので、早くそうしたいし、でも今やったところで一流がやってることの猿真似みたいなもんにしかならないような気もする。

 

上で触れたこだわりについて考えてみる。
たとえば、行きつけの店とはとても言えないものの、一番よく通ってる店はたぶん大学のセブンイレブンだろう。正直不満しかない。もうセブンイレブンでピンとくる食べ物はだいたい食べた気がする。僕はこう見えてもカップ麺を食べることにほんの少しだけ抵抗があるタイプで、金が少しでもあるなら避けようと思っている。買うのはあのコストパフォーマンスがどうしても魅力的に思えた時で、安くておなかを満たすのにあれより適したものは無いと思っている。だから、あんまり「高いカップ麺」みたいなものが刺さらないんだった。
ファミリーマートで売ってる皿うどんの麺みたいなのが入ってるサラダがセブンイレブンでも売られないかな、とずっと思っている。中華麺が入ったサラダは置いてあるんだけど。
あのパリパリが食べたくて、一回わざわざ大学を出てファミリーマートまで歩いていったけど売ってなくて、もう一軒行っても売ってなくて、仕方なくパスタサラダを買ったことがある。2回もフラれたらまあモノ自体への諦めが出てくるってもんで、あれ以来あのパリパリサラダにもちょっとだけ心の距離ができた。

 

次は雑誌…といきたいところだけど、僕は雑誌の類を普段全く読まない。たまに時間つぶしにホビージャパンを立ち読みするぐらいか?全く関係ないけど、ホビージャパンって半分ぐらいのところにあるモビルスーツの折り込みポスターみたいなところでガンダムシリーズの記事とそれ以外の記事がだいたいわかれてるから読みやすいですよね。
雑誌を買う大人ってどういう生き方をしてきたんだろう。漫画雑誌はギリギリわかるけど、プレイボーイだのTarzanだのAERAだのPOPEYEだのは誰がいつどうして買ってるのか?
少なくともモノ・マガジンに関しては、美容院で僕みたいな男が来た時にとりあえず置いておかれる雑誌として不動の地位を確立してると言えるだろう。あの手の雑誌を買ってきて、セロハンテープで端を補強するのがきっと美容院の下っ端の仕事なんだろうな。「おまっ、美容院に置く雑誌なのに『四季報』を買ってくるやつがあるか!」って怒られちゃったりがあるんだと思う。「あ〜っ!!すいません、うち女性のお客様多いですもんね!女子版の方でしたか!」みたいなのもあるんだと思う。何?この安い台本は。

僕はテレビマガジン以降、子供向け雑誌を買ってもらうことがなかった。小学校の頃はおこづかい制ってわけでもなかったので自分では買えなくて、欲しいものがあった時に親に交渉して打率が2割5分ってところ。その頃の小学生にとってのユーモアのバイブルであったコロコロコミックなんかは空振りの部類だった。
確か初めてコロコロを読んだのは親戚が入院して病院に見舞いに行った時、待合室かなんかで時間を潰そうと思って置いてあったのを見つけたのが初めてだったと思う。ああ、みんなが呼んでたこの雑誌はこんなにおもしろかったのかと。この『ゴゴゴ西遊記』ってやつはなんておもしろいんだと。
ほとんどの漫画が一話完結で、僕みたいに偶然手に取った人が読んでも楽しめるのはすごく親切な作りなのかもしれないな。今月は買えなくても飛ばして来月読めばいいみたいなところが非常に小学生に寄り添った作りだと、今思った。

 

最後、食の好みに関しては未だにはっきりしないところがある。
上でコンビニのごはんについてちょっと書いてしまったけど、僕は結構安っぽい舌だ。何を食べてもまあ美味しい。安いチェーンを食べると、あの〜エロ漫画みたいに堕ちてしまう、味覚が完敗してしまう。
それでも牛丼屋や安いラーメン屋やコンビニのご飯に抵抗があるのは、単純にそれらをちょっと見下してる自分がいるからだと思う。こんなものを食べるなんて、とどこかで考えている。みんなも三種のチーズ牛丼で散々腐してるじゃないか、あの価値観が僕の中にも染み付いてて、僕はこれじゃない、という意地だけで食べることを抵抗しているわけだ。みんなバカにしてるけど実際三種のチーズ牛丼食べたらめちゃくちゃ美味しいと思うよ。
お高くとまっていて実際は大したことない舌なのが情けないな。誰かこいつを解放してほしい。

 

そういうわけですかね。
ご覧いただいた通り、僕には全くこだわりがないわけです。