10/22

オタクの友達でコンタクトをつけてる奴がいる。個人的にコンタクトは「垢抜けるための必須アイテム」みたいなイメージなんだけど、そいつは別に見た目を整えて他人からかっこよく思われようとするようなタイプではない。

彼曰く、高校時代にハンドボール部でコンタクトをつけてからこっち、メガネをかけたとき以上の視界を確保できることが魅力でつけているらしい。

僕がコンタクトをつける時は100%何かを狙って色気づこうとしてる時なんで、そのいやらしい目をどうぞ潰してください。どうか俺に発情期を来させないでほしい。

 


「人間誰しも見られている感覚がなくなったら終わり」みたいな話を聞いたことがある。誰だって自堕落になる因子はあって、他人からの視線を気にし、変に思われないようにすることで自分を律するのだと。

ソースがないからこのままだと単なるオタク批判になってしまうんだけど、いわゆるオタクはこの他者からの視線の感覚に乏しいために「変」に思われてしまうらしい。


僕自身も実際「他人に見られている」という感覚はそんなにない。そもそも他人の視線を常に感じている人なんてそんなにいないかもしれないけど。

もちろん親しい人たちと関わるときは違って、目の前の人に自分がどう見られるか考えることはある。ただ、それで考えるのは言葉や行動といった自分が特に相手に届けたいと思っているものだけであって、自分の見た目や様子は届けたいと思ったこともなければ気にされていると思ったこともない。

僕は目の前に僕のことを見ている人がいなければ、基本的には誰かに思われていたり見られていたりすることはないと思っている。


自分は割とどんな人のことも見ていて、どういうつもりでああいう恰好なんだろうとか、何を考えているんだろうとかいう疑問を視界に入った人たちに感じることが多い。

女のコーディネートはわからないが、あの服の合わせ方は今朝あの人が考えたものであって、それなりの理由と意図をもってああしているはずなんだな とか、あのサラリーマンは今の時間に電車に乗って外回りなのかな、昼ごはん食べるタイミングとか考えてるんだろうか みたいに思うのが楽し……くもないけど、ふと考えてしまう。

 


見た目について明るく話したい。

見た目にいくつかの難点を抱える僕だが、結構かっこよく見えるのは地下鉄の車内だ。地下鉄の窓に映る自分はなぜか普段より数倍シュッとして見える。あれはなんなんだろう?

電車の窓に映る顔は本物より少し老けて見える、というのはあるらしい。顔全体に影が落ちて暗い印象になるから。俺は老けた方がかっこいいってことなのか?

反対に、エレベーターなんかにある鏡に映る自分はがっかりするぐらいかっこ悪く見える。え〜〜〜全然足が短いな俺は みたいなことを思うのはもっぱら一人でエレベーターに乗っているときで、どうにかかっこよく映る角度を探すんだけど、この体の縦横比では処置なしですね…と思ったところで目的の階に到着する。


エレベーターで自分をチェックすることは結構多くて、基本的に髪を切りに行こうと思うのもエレベーターからだ。鏡に映る斜め後ろぐらいの角度の自分が死ぬほどもさっっっとしてることにショックを受けてから散髪に行ける日を考え始めている。

散髪のこだわりはなくて、昔から行ってるチェーンの店に行ってほとんどおまかせしますみたいなことを言ってずっと黙っている。途中でどうですか?って見せられても「あ、全然、こんな感じで」としか言わない。オシャレに関わるものはプロがいいようにやるのが一番だと思ってるから。

 


ここまでブスから逃げようとして、それでも鏡や写真に映った自分はブスで、割とがっかりする。

今醜いことは自分でわかるが、どうすれば美しくなるかは自分ではわからないヴィランみたいな状態だけど、ブスなのはもう諦めてるんだよな。今から窪田正孝になるには身長も体型も顔も性にまつわる爛れた経験があったことを彷彿とさせる雰囲気も足りないし。


他人から見てブスなのはしょうがないので、せめて自分がまあ納得できるぐらいの見た目ではありたいな。そのうち一人になるなら、せめてどこか愛せる自分であって欲しいわ