5/7

ちょっと前のある夜、出かけようと駅のエスカレーターに乗っていた時、反対側のエスカレーターに乗っていた男性が前の段に立つ女性のスカートの中にスマホのカメラを上向きにしてライトを照らしながら突っ込んでいるところを見かけた。

それがちょうどすれ違いざまだったので、僕は咄嗟に身を乗り出してその男性の腕を掴んでしまった。すると彼は驚いて僕の手を振り払って駅の外へと逃げ出していき、僕もなんだか追いかけねばと下りのエスカレーターを逆走して追いかけ始めた。


頑張って追いかけて行ったのだけど、これからの人生をかけて走る彼と「この後の予定の時間までまだあるから途中で丸亀製麺でも行きたいな」と思っていた僕では走りの本気度が違いすぎて、途中ちょっと服を掴みかけたりはしたものの、その距離は離されるばかりだった。

しかし、彼は逃げる途中で慌てたのか例のスマホを落としてしまったのだった。勢い余ってそのまま少し先まで走ってしまい慌てて戻ってきた彼と「最悪スマホさえ押さえれば」と拾い上げた僕で、今度はスマホの奪い合いになった。


場所は人通りがほとんどない住宅街、夜も遅い時間、かつその男性は縦も横も僕よりボリュームがある感じ。「何かされたら勝てないな」と思った。生まれてから今まで、ここまで身の危険を感じたことはなく、怖かった。

「なにやってるんですか!」と僕が言うと、彼は「いや、もう二度としないから」「ほんと、今回だけだから」と言いながらスマホを取り返そうとしてくる。

「いやダメですって、ちょっと駅戻りましょう!」となるべく人通りのあるところまで引っ張ろうとするが、彼は抵抗しながら「今回だけは見逃してほしい、お願いだから」と僕の目をじっと見て切実な様子で言ってくる。

しかし、「じゃあいいですよ」と逃すわけにもいかず、かと言って一対一でどうにかなる感じでもなかったので、「もうこの際暴れられても仕方ないか」と覚悟を決めて(これから自分よりでかい男に本気でボコボコにされるかもしれないと思うとまあまあの覚悟がいる)「すみません、誰か!」と何度か声を上げてみた。すると、近くの家から「どうした〜?」とおじさんが出てきて通報してくれて、10分ほどで警察が来ることになった。


警察を待つ間、近くの家のおじさんが一緒にいてくれたのだけど、その男性は先ほどまでのしおらしい態度とは打って変わって「この携帯に写真が残ってなかったらどうするんだ?」とか「もし間違いだったらお前が謝るんだからな?」とか、脅す方向にシフトしてきた。僕も怖くなってわけもわからず「すみません!」とか「ご迷惑おかけした分謝ります!」とか、ひたすら謝罪していた。何も知らない人から見たら僕が捕まったのかってぐらい情けなかったと思う。


なかなか警察が来ない中、やがて男性はタバコが吸いたいと言い出し、スマホを掴む手(警察の到着を待つ間、一応僕も男性もスマホをのそのそと取り合っていた)を片方離して鞄をまさぐり始めた。凶器を出してきたり火つけられたりもしかねないと思ったので、おそるおそる「タバコ吸うのは警察の人来てからにしませんか…?」と聞いたら「どうせ来たら吸えなくなるだろうが!」とごもっともな反論をされた。変に怒らせてしまうのもマズいと思い「じゃあどうぞ……」と言うと、男性は普通にタバコを吸い始めた。僕も不意の根性焼きからの逃亡に備えて副流煙をたっぷり吸いながら男性を見ていた。


その後は特に暴れることもなく警察が到着し、無事に引き渡して事情を話した後(現場では情報共有という概念がないのか、何度も話をさせることでこちらが言ってることの信憑性を確かめているのか、とにかく同じ話をいろんな警察官に20回ぐらいした)、後日あらためての現場検証を約束してその夜は1時間半ぐらいでことが済んだ。

後日、事情聴取で何度か警察署に行き、どういう状況だったか、被害者はどんな人だったか、どこでどう追いかけ、男性とどんなやりとりをしたかなどなどを話した。警察の人からはしっかり御礼を言われ、捜査協力の手当?として5,000円がもらえた。

 

ちなみに彼が撮っていた女性はそもそも盗撮に気づいていなかったようで、なおかつ僕も声をかける間も無く追いかけてしまったため、僕が一生懸命彼を追いかけていた時にはすでに現場を離れてしまっていたようだった。警察の人は困っていたけども、被害を受けたと知ること自体も大きな心の傷になると思うので、そういうこともなく普通の生活に戻れたのであればかえってよかったのかもしれないな、と思う。


そんな一件があってからしばらく考えているけど、僕とその男性が果たしてどれだけ違うのかというと実はそんなに差がないような気がしている。

僕も駅で前の段にいる女の人のケツを「デカいな〜」とか「ちっちゃいな〜」と眺めることはこれまでもあったし、今でもある。考える限り、盗撮ってこの延長線上にあるものだと思うので、なんというか今回の男性の気持ち、ちょっとわかる気がしてしまう。こんなことするなんてあり得ない!信じられない!という感じは全然なくて、むしろわかるな……こうなっちゃうかもしれないな……という感覚。


スマートフォンの取り合いをしていた最中、男性がじっと僕の目を見て「今回だけだから」と言った時、正直かなり気持ちは揺らいだ。僕も魔が差しに差しまくったら、こういうことをしかねないと思ってしまった。もし自分がこの人だったら、本当に心の底から許して欲しい、見逃してほしいと思うだろうし、なんならおまえもわかるだろ、同類だろと訴えかけることもしたかもしれない。

相手は怖いし、でも気持ちはわかるし、正直「追いかけたけど取り逃しちゃった」ことにして、厳重注意で見逃してもいいんじゃないかと思いかけた。

相手が「二度とやらないから許してほしい」と訴えてきた時、僕は「許す許さないは僕が決めることじゃないので!駅に戻りましょう!!」と答えたんだけど、それが結構本心に近いな、とあらためて思う。言葉通り僕が許すとか許さないとかを判断する立場にないというのもあるけど、それ以上に「絶対に許さないぞ!」とまでは思えなかったからこそ、他の人に判断を委ねて自分が責任を負うことから逃げてしまった。


僕の中ではこの話、100%純粋な正義感で極悪非道の盗撮犯をとっ捕まえた武勇伝ではなく、偶然現場に居合わせて捕まえてしまったから引き渡しただけのことで、あの時思ってしまったこと、自分がとった言動を思うと反省するところしかない。

勝手に絆されて説得されて、自分の中の欲求と共鳴させて、性犯罪の共犯になりかけたのだ。今回たまたま踏ん張れただけで、いつそちら側に行ってもおかしくない。


今回警察からもらった5,000円は、もらう資格もないぐらい悪い思いがよぎったのもあるし、自分が負けかけた戒めにもなるので、使わずに取っておいている。

こんなこと何度も起きてほしくはないけど、もしまた同じようなことがあれば、次こそは100%純粋な正義感で犯人と相対することができればいいなと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とまあ綺麗な話にもできるけども、さらに色々考えて思ったのが「自分の人生棒に振るほどの他人っているか?」ということだ。

あの男性にとって被害者の女性がどう見えて、どういう状況だったのかはわからないけど、こうして捕まったことで何かしらの罰はあるし、前科はつくし、この先の人生の障害になることは間違いない。それを加味してもなお手を出さざるを得ないほどの異性って、まあいないと思う。

僕はどんな相手にも自分の人生を奪われたくないので、あの一件以降、他人に狂いそうになった時は「自分の人生賭けられるほどなのか?」と考えるようになった。心の中でこのワードを唱えれば、大抵のグラビアページは色をなくし、ゼロイチファミリア所属タレントのフォローは外し、Fantiaは退会し、LINEの会話は終わってしまう。それでもなお残るものだけ、自分が本当に求めているものとして愛していけばいいのだ。

 

これを見ている人も、ぜひ衝動的なアクションに出る前に一度立ち止まって「本当に自分の人生賭けられるほどの相手なのか?」を考えてみてほしい。そして他人のために生きず、自分のために生きてみよう!!

5/7

このGWの直前にコロナに感染、発症した。

有給休暇を使って作った10連休はそっくりそのまま自宅療養期間に代わり、出かける予定も人と会う予定もキャンセルしてひたすら横になっていた。

はじめの2,3日はそこそこ辛く、熱も高い状態が続いていたんだけど、ある程度日が経ってくると体も楽になって余裕が出てきたので、SNSを見たりして過ごした。

載っている写真は美味い飯、仲のいい友達、綺麗な景色、高い趣味の品などなど。だいたいいつも同じようなものを見てムカついている気がするが、病に臥せる自分とイキイキと連休を満喫するSNSの向こうの知り合いを比べると、より一層ムカついて、心の底から「全員感染してしまえ」と思った。

 


SNSで何かを誇る人たちに怒るのは気持ちがいい。別にその人たちもそれ相応のコストを支払っていい思いをしているのだから、僕のような何の努力もしない人間に妬まれる筋合いなどないはずなんだけど、ぱっと見ではただただ降って湧いたようにいい思いをしているようにしか見えないのでムカついてくる。彼らは恵まれているから幸せなように見え、僕は恵まれていないために不幸せなのだと思える。

別に他人のとてつもない贅沢に対して腹が立つわけではない。もっとこう、気の合う人と好きな場所に出かけて楽しい時間を過ごしたみたいな、一朝一夕ではどうにもならない人とのつながりみたいなものを見せつけられるたびに、自分が取りこぼしてきたものへの焦りと腹立たしさが湧き出てくるのだった。

 


人間関係も維持・拡大を続けなければ友達や関わる人々は減ってしまう。定期的に連絡を取らなければ、大抵の人とは疎遠になっていくというのは日々痛感していることだ。

数ヶ月前、僕はそうやって人との関わりが薄れていくことで感じる寂しさや人恋しさは自分の弱さのためで、それから逃れるためだけに人と関わろうとするのはなんだか自分勝手なことのように思い、人と下心を持って関わるのをやめた。そして、人を求めるのではなく、人から求められるような存在となることで間接的に寂しさを解消しようと思った。自分の価値を磨くことで、ちやほやされれば寂しくなくなるだろうと思ったのだ。

だが、いくら考えても自分に他人から求められるだけの価値は見出せなかった。まだまだいくらでも替えがいる健康優良男児でしかなく、なんなら今はコロナにかかって不健康ですらある。

そして正直それは他人にも言えることのように思えた。毎日たくさんの人と楽しい夜を過ごしている彼も、交際相手が絶えず目まぐるしく変わる彼女も、たしかに魅力的ではあるものの、目を見張るようなかっこよさや飛び抜けたおもしろさがあるわけではないように思えた。ただ共通して感じられるのは、ちやほやされたいと主張し行動できる図々しさ、僕が自分勝手だと嫌った下心だけで、幸せそうな人は当然のように持ち合わせているそれを持たないと決めた自分は、やっぱり幸せにはなれないのだと思った。

 


先日、先輩と仕事の話をしながら飲んでいて、誰か呼ぼうという話になり、僕の同期の女性に声をかけることになった。

彼女は部署が近いこともあってたびたび昼飯を食べながら話すことがあったんだけど、いつからかその時その時の交際相手の話ばかりを赤裸々に伝え聞くようになっていた。馴れ初めの話やデートの話、LINEの話やプレゼントの話、最終的には彼と話した内容のログをそっくりそのままもう一度僕に話されて目が✖️✖️←こんな形になり出した頃、その彼の話題は別れ話になっていて、サイクルが早い人なんだなあと思っていた。

そんな彼女は来るとなんだかとても疲れてイライラしていたようだった。具合が悪い時期なのかなと思ったが、話を聞くと彼女は、前日にマッチングアプリで出会った男性と飲んで泥酔し、そのまま男性を一人暮らしの自宅に招き入れ、眠れないまま朝を迎えたところ、前日にした高い買い物の袋を丸ごと失くしていたことに気づき、あちこちに電話をかけて探し回っているのだと言う。

僕は普段から聞いている通りの赤裸々な話なので、またこんな感じかと思い目が××ぐらいになりかけていたが、一緒にいた先輩の方は綺麗な女性(彼女は綺麗なので)がそういった話をすることに興味を持ったようで、飲みの場の話題は完全に彼女の独壇場となった。

彼女は先日付き合っていた男性と別れ、寂しさを紛らすようにマッチングアプリを眺める日々を送っていた。そうしているうちに一人の男性と出会ったらしいのだが、その人とは会う気にならず、ダラダラとメッセージのやり取りを続けていたところ「友達を紹介する」と言われ、まだ大学生だという別の男性と知り合うことになったという。写真を見たらめちゃくちゃタイプで、メッセージのやり取りにも知的な雰囲気が感じられ、何なら名前もカッコよく見えてきて、唐突ながら明日飲みに行こう!と誘うことにした。彼は予定があるので遅い時間からならと言いながらも来てくれて、久々に良い男と会ったら話もメッセージと変わらず知的で面白くて、お酒もなんだかよく回って、あっという間に終電の時間を超えてしまった。あるいは、最初からそのつもりだったのかもしれないという。彼も彼女も何だか煮え切らない雰囲気で、ただ「もう少し一緒にいたいような……」という思いがあって、なし崩し的に彼女の自宅に連れて帰り、一緒に寝ることになった。そして翌朝、あまり眠れずに朝の支度をしている時に、前日の買い物袋がないことに気づいたとのことだった。

「ちょっと待って」僕は聞いた。「何で眠れなかったの?」

先輩は呆れて流そうとしたが、彼女は僕が自分に対して婚前交渉を許しておらず、女性経験に乏しい人間であることを知っていたので、ちゃんと布団の中でイチャイチャしたからだと教えてくれた。なるほど、そういった経緯で女性の自宅に行った際には一緒の布団で相手の胸を触ってもいいのか、と思った。

彼女はそのイチャイチャしたことについて、とても引っかかっているようだった。性交渉は流石にしなかったが、中途半端に前戯のようなものだけしてしまったことについて、彼の自信を損ねたのではないかとか、逆に軽い女だと思われたのではないかとか、今後の彼との関係性をどう運んでいくかについて心配していた。

先輩は親身になって彼女の悩みを聞き、彼とどうしていけば良いか、泥酔した時の失くしものはどう探すかについてアドバイスをしていたが、僕はずっと、目の前の女性が数時間前にイチャイチャしていたことについて考えていた。

 


結局その男性も、下心を持って彼女に近づいていたのだ。彼女が嬉々として見せてきたトーク画面の彼の言葉遣いはなんだかキザっぽくて、数年前に僕がいた大学生のサークルで性欲がまるでなさそうな顔をしながら女性トラブルを起こして消えていった元浪人生の文章そっくりで鳥肌が立ったが、そういうテンプレのようなクールな素振りを見せながらも最終的には暗闇の中泥酔した女性の胸を触ったのだ。

僕はその、彼の図々しさにとても驚いていた。そして僕自身や、僕の周りの数少ない朴訥とした友人達の慎ましさにあらためて感動した。お願いだから、慎ましい人に幸あれと心の中で叫んでいた。

僕にとっては単なる性暴力の話でしかないが、名前も知らない(が何やらカッコいい名前らしい)その彼は、自分の見た目と醸し出す雰囲気と作り出した状況と自らの図々しさによって、目の前のこの女性の家に上がり、胸を揉んだ挙句今ものうのうと生きているのだ。ましてやこの女性はそれをプラスに捉えて将来のことまで考えているのだ。これは、ものすごいことだ。もしかしたら世の中の多くの男性がそうしたステップを踏んでいて、僕がそれを知らないだけなのかもしれないが、順を追って話を聞くとひどく大胆不敵な犯行だった。

 


確かに僕は、仮に今後初めて性交渉をする場合、どういった準備をすればいいのか考えていた。性的同意の話題で「紅茶を飲みたいか尋ねるのと同じ」(必ず知っておきたい「性的同意」の話。紅茶におきかえた動画を見てみよう | ハフポスト LIFE)という有名な話があるが、それをそっくりそのままやろうと思っていて、それ以外は犯罪だと思っていた。「胸を触ってもいいですか?」「性交渉をしようと思いますが、いかがですか?」と聞いて、「はい」と言われ、念のため記録媒体にも残しておいて、やっと正しい性的関係が結べるのだと考えていた。

最近世代の異なる人とも飲むようになると、割とベタベタと男性が女性に触れているところも目にするようになったが、それも僕にとってはあり得ないことだった。先日女性の先輩が飲みすぎて机に突っ伏していた時は、いくら僕が下っ端とはいえこれだけは出来ないと思い、別の女性の先輩に介抱を頼み、背中をさすっているところをぼーっと眺めていた。

確かに、本当は何も言わずに唇を奪ってほしいかもしれないし、辛い時は黙って肩を支えてほしいかもしれない。が、そうしてなんでも「暗黙の了解」の範疇に収めようとすると、いつか望まない性的行為・コミュニケーションに直面した際にもそうと伝えられなくなってしまう。それは他ならぬ女性自身の体を傷つけることになりかねないから、あくまで女性のためを考えて、こういうスタンスでいるべきなのだと心の底から僕は思っていた。

だが、そのイチャイチャの彼は(話を聞く限りでは)シチュエーションを味方につけて言葉少なに自分にとって都合の良い条件に持ち込み、「こうなった以上そういうものだから」というただそれだけの理由で相手の女性すらも気づかない間に犯行に及んだのである。

 


これがよくある何でもないことだというなら、そんな世の中の方が間違っていると思うが、しかし僕は彼のこの行為こそが、今の世の中で幸せになるために備えておくべき図々しさなのだと感じた。自分が幸せになるためなら、相手が幸せかを確かめないままに大事なものを踏みにじる(揉みしだく)大胆さ。別に性的関係だけにかかわらず、人間関係一般に通じることだと思う。僕はこの要素が決定的に欠けているが、それでも僕の方が正しいはずなんだ。なのに、この暴力的な大胆さを振るう人ばかりが幸せになっているように見えて、慎ましく生きている僕は幸せを感じられず、誰もその努力に目を向けてくれない。

要するに、何も考えず本能のままにやりたい放題やっている方がなんだか幸せそうでムカつくのだった。

 


などと考えていると、先輩と彼女は一通り議論が落ち着いて、僕にも「今後彼と彼女はどうしていけば良いか」の意見を求めてきたので、僕は「そういう異性との慎重かつ重要なやり取りを経験したことがないからわからない」と正直に答えた。

9/21

社会人になってから職場の人と恋愛の話になることがあって、みんな当たり前のようにこれまでの彼氏や彼女がどうみたいな恋愛遍歴を披露してくる。最初にそういう話題になった場では「いやー今まで彼女とかいたことないんスよ〜笑」なんてとても言えない雰囲気で、僕は仕方なく出まかせで「大学2年ごろに彼女がいたけど忙しくて別れちゃって、それからはちょっといないんですよね〜」と答えてしまった。

それ以降「いたことはあるけど今はいない」が僕の職場での公式設定になっている。だけどこの間他社の人から「君今彼女とかいるの?」と聞かれた時、いないと答えたらなんかまたご高説とか賜りそうで面倒くさいなと思って、咄嗟に「いますよ〜」と答えたのを自社の人に聞かれてしまい、「あれ……?」という空気にしてしまった。流れでなんとなく有耶無耶になって突っ込まれなかったけど、場面に応じて彼女がいるだのいないだのいい加減なことを言うのはやめた方がいいなと思った(あたりまえ)。

ちょっと前に同期から「交際相手がいるのか聞かれた時、男は嘘でもいるって言った方がいいし、女は嘘でもいないって言った方がいいらしい」と語られたのがずーっと残ってて、答え方にブレが生じてしまう。たしかに、偉いおじさんが僕の彼女の有無自体に興味があるわけがない。「彼女の一つもできるぐらい誰かから信頼されている、見どころのある人間なのか」をパッと知りたいってことなんだろう。もしくは、「いないんですよ〜!ハハ!」なんて常識はずれなことを言わない人間か確かめられてるだけか。

そうやって考えてしまうと、なんだかそんな質問にまともに答える義理もない気がしてくる。あんまり会わない人には良いように思われておきたいから「いる」と答えたいし、一緒に仕事をする人には自分の程度を知っていてほしいので正直に「いない」と答えたい。

本当は「いたこともない」が正解なんだけど、周りの様子を見るに社会人として一歩家の外に出たら「交際経験あり」の仮面だけは被っておかなきゃいけないような気がしてこういう状態になってしまっている。ありもしないことを言うのは虚しいっちゃ虚しいんだけど、偉いおじさんたちに出鱈目なことを言っていると思うとそこそこ楽しい。

 


最近始めて彼女ができたという同期の友達に会ってきた。

自分と共に「彼女ほしいけどなかなかできないよな〜」みたいなスタンスでずっとやってきた奴で、彼女持ちの友達を一緒になって死ぬほどいじり倒していた仲だったので「抜け駆けしやがったな!」みたいな気持ちもありつつ単純に衝撃が大きかった。

彼女との微笑ましいだけで全くオチのないエピソードを話す様子からはこれまでモテる人間をいじってたスタンスは影も形もなくて、一緒にワイワイ楽しくやってきた人間が笑い抜きで真剣に幸せになろうとする覚悟みたいなものを感じた。

やっぱり彼女ができるってすごいことなんだな。自分は10年の付き合いの中で彼のことをよくわかったつもりでいたし、一緒にひと通りの楽しいことはやったつもりでいたけど、最近できたという彼女はいとも簡単に彼を変えてしまい、これまでとは全く別種の、そして最高の幸せをもたらしたようだった。同性の友達とではどう頑張っても到達できない「男としての幸せの高み」ってやつに、異性の恋人となら容易くいけるらしいということが実感を伴って理解できて、そりゃみんなそうするわなと思った。

 

これで、よく連んでいる同期の中でただの一度も彼女がいたことがないのは僕だけになった。今までだったら「女を作るような奴は軟派」の論理で彼女がいる奴を馬鹿にしたり、抜け駆けされたことに不貞腐れたり、女の前での変わりようを聞き出して笑い飛ばしたりもしてみせたんだろうけど、ここまで交際経験者が多数派になってくるとそういうお笑いじゃなくなってくる感じがある。「なんだかんだ、彼女がいるっていいよな」の認識が共有されているあの集団の中で明らかに僕は異質で、もう前みたいなふざけ方はできないなと思った。

実際、前にも彼女持ちのやつに「デートの時とかに気取ったことをしようとするとおまえらに茶化されたことがちらつく」と言われていたんだった。今までだったらその苦悩はモテる者の義務、ノブレスオブリージュみたいなもんだったけど、こうも彼女の存在が一般化されてくるといつまでもそんなことを言っている僕の方が社会悪だと思う。

最近彼女ができたその友達は、僕にそっとあるツイートの画面を見せてきた。何百だか何千だか何万だかいいねされたそのツイートには「人を好きになれないのは人を信用することを諦めたから」といった旨のことが書かれており(これを書くために一通り検索したんだけど該当ツイートが見つからなかった)僕は「違わい!」と言った。


僕は今までずっと、自分は魅力が乏しいからモテなくて、ぼんやりしているから付き合いたいほど好きな人ができなくて、加害者になりたくないから他人と交際に発展するようなことがなかったのだと思っていた。

でも今回友達の話を聞いていると、「これは」と思えるようなきっかけの多さ(もしくはきっかけを自ら作ろうと動く意識)や、心を決めた人と付き合うための努力の凄まじさ(相手との関係を保つための細やかな連絡や、大きく関係性が動く勝負どころでの精神的・金銭的なコストのかけ方)に圧倒されたし、そういう熱量が僕には致命的に欠けているように思えた。

その友達は相手との関係性が深まっていく中でその相手と付き合おうという気持ちを高めていき、最終的にはそれに突き動かされるように行動を起こしていたらしいが、自分は正直そこまでの熱量を持ったことはなかった。たしかに女の人は好きだけど「じゃあ彼女を作るために全力で頑張るぞ」みたいなモチベーションはないし、彼と比べれば僕の周りの人々に対する「好き」の気持ちなんてぬるま湯も同然で、「これと決めた一人と関係性が深まり付き合いたい気持ちが湧き上がる」なんて状態にもなったことがなかった。

たしかに、僕はまあまあ真っ当に生きてきたんだから、然るべき人たちに頭を下げていけば、これまでの信用ポイントを使えば誰かひとりぐらいは付き合えないこともないかもしれなかった。お金で魅力をカバーしつつマッチングアプリで試行回数を重ねれば、お金が尽きるまで留まってくれる人だっているかもしれなかった。ちょっと考えれば「相手がいない状態」から抜け出す方法なんていくらでもあるのに、それでもそうしてこなかったのは、さっき並べたような理由よりももっと根本的な原因、「自分の熱量不足」が問題な気がしてくる。

「とにかく相手を作る方法」を考えた時に、本当に自然に「これまでの自分の行いに応じて得てきた信用ポイントを消費して見返りを求める」とか「お金を使う」とかいう方法を考えてしまったんだけど、確かにこれは人を信用してない人間のやり方だと思った。友達にあのツイートを見せられた時は「僕は誰も信用してない寂しい人間なんかじゃない」と思って否定したけど、自分の反射的な思いつきを見る限りあながち間違いでもなかったのかもしれない。


「ひとりで生きるか、誰かと生きるか」というのは自分の中では結構長い間考えてきたことだったし、その時々で「こうしよう」という方針も決めてきたことだったけど、今回友達の話を聞いてわかった自分の感覚のズレはその問題を考える上でかなり衝撃的だった。僕はそもそも悩むまでもなく、ひとりで生きるほかなかったんだな。魅力に乏しいだけならいざ知らず、それでもどうにかしようという気力すら人に負けていたんだから。そんなことにすら気づかず未だに「どちらにしようかな」なんて考えていたのは本当に馬鹿だったし、それを気づかせてくれる友達がいたのは本当によかった。

相手がいないことを引きずっていつまでも幸せに水を差すようなことを言うかもしれないけど、これからも仲良くしてほしい。

あと最後に、

 

 

 

 

交際おめでとう!!

 

6/16

 

気は小さいくせに昔から見ているだけでは飽き足らないタイプで、カッコイイものや華やかなものを見ては自分もやりたい、そうなりたいと思っていた。
大人と対等にやりあってる(ように見えた)てれび戦士子役タレントに憧れたし、中高の軽音部にも入りたかったし、学祭のステージで司会なんかやってみたいな〜って考えたこともあった。今だってどこからかチャンスが降ってきてラジオパーソナリティとかになれないかな〜って思う。

 

最近一番グッときたのが、多少社会人生活にも馴れてきたある日の朝、乗り換えの駅の階段を登っている時にふと周りの通勤する人々とその中の自分を俯瞰してしまって「この雑踏の一員になったんだなあ……」って思った瞬間だった。アニメとかドラマでもよく夢破れたキャラが死んだ目で通勤ラッシュで行き交う人々の波に呑まれて……みたいな描写があったりするけど、まさにアレみたいなことになった。

破れるほど張り詰めてやってきた夢もなかったけども、今まで見てきた作品で活躍するメインキャラクターとの対比として「持たざる者」とか「社会の歯車」みたいに置かれていたモブに「なっちまった」な〜と頭の中で言語化されてしまった。本当に自分という人間はどこか目立つ人間になりたかったんだなと思った。

 

でも、自分がモブの一員になったとあらためて思えたことで吹っ切れたところもある。今まではどこか浮世離れした感じを出したいと思い、「持ってる」人間がやりそうなこと・やらなそうなことを判断して自分を律していた。なぜか三大欲求がない方がカッコいいと思っていて、寝てない・メシ興味ない・女絡みいらん✊って感じを出しつつ、目立たないところでコソコソと寝たり、メシを食ったり、女は……女はまあ、ずっと満たされずだった。
最近その縛りをちょっと緩和して、世の中にありふれている手練手管の誘惑に迂闊に乗ってみようかという気になった。
唯一無二の絶品グルメを除くSNSアカウントで紹介されている店をチェックしちゃうし、インスタのおすすめ投稿のサムネで誘ってくる「◯◯大喜利!」とかふしだらな格好の女がなんか小気味良すぎて気持ち悪いようなリズムの曲に合わせて踊ってるショート動画とかを見ちゃうし、YouTubeでも「治安の悪いところ、潜入してみた!」みたいなやつも見ちゃう。土佐兄弟も好きだし。
前まではそういうのを楽しんでたら頭の中の自分を客観的に見る部門から「俗っぽくなっちゃってるので気をつけてください!」ってうるさく言われてたけど、最近はその声がかなり小さくなってきてるような感じがする。


反対に、今まで続けてたことを時間とか疲れとかを理由にやらなくなったりもした。最近は軍師のことお知らせできてないし、ゲームを触る時間もぐっと減ったし。

社会人になったら趣味にお金をかけて生涯の嗜みとしていくやつが自然にできるもんだと思ってたけど、それこそ持ってる人間にしかできないことなのかもしれないな。なにか一つ極めた粋な人間になりたかったのに、薄弱な意思と体力を言い訳にして、どんどん俗っぽく、なにもない人間になっていく。
ゲームとかもハマった時はしっかり時間かけお金をためたらPCも買うぞ〜とか思ってたけど、今はゲームするよりは寝てる方が明日のためになりそうだな〜と思っちゃうし、PC買う話だって今の自分じゃ高いだけのおもちゃにしかならんよなってことで立ち消えになった。社会人として働く傍らゲームやら創作活動やらをする人もいるけど、そういう人の時間や気力の生み出し方がわからないし、生み出す力の鍛え方もわからない。

酒もタバコも遊びもやらなくて、映画や本で教養つけることもしなくて、安い飯でもうまいと思えて、俗っぽいコンテンツでクスリともせず時間を潰していられる、無害で無趣味で無感動な人間になり、無事何のおもしろみもなくなっちゃったな。学生の時にそういう嗜み(嗜好品・食・異性)を熱心にやってる人を「大人の真似ごとで偉くなった気になってる」って心底バカにしてたけど、案外そういう時期があった方がよかったのかもしれない。その頃に夢中になったり、手が届かなくて悔しく思ったりした気持ちをお金で満たす力があるのが社会人なんだろう。そこまでかけたいと思うものを作ってこなかったのはちょっとミスだったなと思う。


最近「ADHDの人間の街の歩き方」みたいな動画を見たら、たぶんその人も極端にやってるんだろうけど、キョロキョロしながら歩いて「街中の文字とか読んじゃうんですよね〜」って言っててなかなかくるものがあった。
自分もいかにも他所の人間に見せるもんじゃなさそうな「地元」って感じの道を歩いて、もう何年も前に閉まってそうな店や、干されてる洗濯物や、朝駅から歩くのがちょっとだけ面倒そうだなって感じの名前も知らない小さな会社のビルや、たぶん一生通ることのない脇道の先に何があるかを眺めたりしてヘラヘラするのを唯一と言っていいほどの趣味にしている。
就活でも履歴書の趣味の欄に書いて話したし、仲良くなり始めの人に休みの過ごし方を聞かれた時にそう答えたりもしてたけど、もしかするとなんらかの症状が丸出しな、あんまり言いふらすような趣味じゃなかったのかもしれないな。自分としても心から楽しめるうえに個性的な感じも出せるちょうどいい趣味だと思ってたけど、ちょっと違うものに変えた方がいいんだろうか。


実はここ最近も楽しく歩いていたら本当にたまたま知り合いと会った。どうせ知り合いには会わないだろうと思って人目も憚らずに好き放題キョロキョロフラフラしてたらこういうこともあるんだから、偶然って怖いよな(俗っぽい感想)。

 

 

 

 

 

f:id:ayntm:20210616003815j:image

他の人といたら流すけど、自分一人だけだったからギリギリ撮ろうかなと思えた最近の俗っぽいスナップ写真

5/7

会社の同期に最近Apexを始めたっていう女の子がいて、じゃあゴールデンウィーク中とかにやろうよ〜みたいな話になった。全然、本当に1ミリたりとも下心はなかったんだけど。や、あったか……?あったかも……。別に同じ配属でもないので、わざわざ仲を深める必要もなかったし。そもそもこういうゲームをあんまり親しくない人と一緒にやる時って、自分が下手すぎて足引っ張っちゃったらどうしようみたいなありふれた不安があるはずなんだよな。普段の自分ならそんなリスクに目を瞑るはずがないわけで……。じゃあやっぱり、自覚もないままにすごく邪な気持ちでそういう誘いをしたんだと思う。


そんなわけで話をつけて、ゴールデンウィーク中の昼の2時ぐらいからデュオで遊び始めた。僕の方が始めた時期が早かったのもあって、幸いにもそこまで足を引っ張るとかいうこともなく、だからといって先導するとかいうわけでもなく、普通に戦闘で勝ったり負けたりみたいなのを繰り返しながらあんまり中身のない話をした。
一個思い出すと恥ずかしいのが、その子が「投げ物(爆弾)足りないんだよな〜」みたいなことを言っていたので「あげるあげる」っつってその子に向かって投げつけて爆発させちゃったりもした。そういうの許してくれそうな子だったとはいえ、相当はしゃいでたんだと思う(共感性羞恥テロ)。


しばらくやってそろそろお開きかな、というタイミングで待機ロビーに戻ると、知らないIDの人が待機している。おや?この人は……?と思っていると、女の子が「ごめん、普段一緒にやってる友達が入って来ちゃって……」と言い、程なくしてボイスチャットから「どうも、こんにちは〜!」と、たぶんシュッとして明るくてカッコいいんだろうな〜みたいな雰囲気の男の子の声が聞こえてきた。
瞬時にこれやっちゃったか?と思った。彼氏登場だと思った。うちの彼女がどこの馬の骨ともわからんやつと遊んでると知って、ボコりに来たんじゃないかと。訓練場に呼び出しをくらって(Apexには射撃訓練場っていうチームメンバーだけで入って的に当てたりメンバー同士で撃ち合いを練習できるところがあるので)、練習と称してe-リンチをされるんじゃないかと。もしそうなったら謝るしかない。そんな、断じてそういうつもりではなくて、会社の人と仲良くなる一環というか、その子の「今度一緒にやろう!」みたいな社交辞令をまともに受け取っちゃった僕の鈍感さというか……とにかく、出過ぎたマネでしたと言えばいいよな、下手に出ることにかけてはESに書こうか迷ったぐらい自信があるんだから……。
などと逃げ道を考えていると、どうやら彼としてはそんなつもりはないらしく、「一緒にやってもいいですか?」みたいなスタンスだった。女の子も申し訳なさそうに「突然ごめんね、でもこいつ上手いと思うのでよかったら……」と言うので、あ〜それなら全然、こっちはe-リンチでe-フルボッコにされるつもりだったんだからむしろ命拾いしたようなもので、こちらこそお邪魔させてくださいということでプレイ再開となった。


そしたら本当に彼が上手くて、プレイは今までの時間はなんだったんだろうと思うぐらい積極的だし、普段から一緒にやってる2人のトークも盛り上がってきちゃうし、なんなら下の名前で呼び合い出しちゃうしで、これはちょっと、本当にお邪魔しちゃったわね……と思って2人の背中を追っていた。
しばらくプレイしていると、また彼女が「投げ物足りないな〜」と言うので、じゃあ今度は普通に探して渡そうか……と思っていたら、彼が「ほら、あげる!〇〇(下の名前)!」とグレネードを投げつけて爆破させ「それ御伽くんもやってたんだけど〜!」という超恥ずかしい場面もあった。皆さんはたとえ死んでも人にグレを渡す時にボケない方がいいと思います。

 

そんなこんなで計4時間ほど遊び、「じゃあ自分はこの辺で……」と言ってお暇した。彼女からあらためて「急に友達乱入しちゃってごめんね、またやろう!」みたいなLINEがきて、ちゃんとフォローもできるステキな人だな〜と思ったけど、ちょっとあの2人の掛け合いを見ちゃった以上、割って入るようなことは自分には難しいよな……。「こちらこそ!またお願いします」と返し、オンライン表示を消してコソ練に戻る僕だった。

 


先日友達と借りたレンタルルームで、退室後に管理人さんから「部屋の備品(ゲームソフト)がなくなっている」という連絡があり、「部屋の防犯カメラを調べたところ、黒髪で小太りのお友達が触っているようなのですが……」と言われた。十中八九、僕が疑われていた。
結局備品の紛失は管理人さんの勘違いだったので事なきを得たんだけど、あっ、やっぱ自分って側から見るとマジで太ってるんだな〜って思った。ただただ、人から「小太り」って言われただけのイベントだったけど、あらためて自分に対する忌憚のない意見が聞けて、むしろよかったとさえ思った。

兼ねてから薄々感づいてはいたものの、「自分ってもしかすると人から特になんとも思われないような、普通の見た目をしてたりしないかな?」みたいな、ささやかな期待を根こそぎへし折ってもらって、あらためて見た目以外の要素をちゃんと伸ばしていかなきゃいけないな〜という決心がついた。

人間関係で今以上のものを望むなら、見た目以外の部分で誰かにとって魅力的でないといけないし、特に変わらないままでいるなら「人から醜いと思われて生きている」ということを常にわきまえて行動しなきゃいけない。ふとした瞬間に自分がデブだったりブスだったりすることを忘れてはしゃいでしまうけど、はしゃぐデブほど見てられないものもないもんな。醜くてごめんだけど、自分としても人を不快にさせるのは本意ではないから……。頑張っておもしろくなったり、お金持ちになったりして、付き合うに足る人間になるから……。
と、梅雨を前にじめじめとしたことを考えては、Apexにぶつけるような日々ですね〜。

4/18

またデートをしてしまった。

天気がいい土日はどこかに出かけたくて、でも面倒に思えて、何かと理由をつけて家にいることが多い。動画を見たり料理をしたりしても意外と充実した感はあるからいいんだけど、この歳になっても青い空、白い雲、あったかい日差しとかが好きなんだよな。なんなら子供の頃より好きかもしれない。小学生の時には休み時間に図書室にいすぎて「外で遊べ」って怒られたりしてたけど、この歳になってやたらと外に惹かれる。ここ最近は外に出るのを控えようみたいな風潮だったのもあるかもしれないけど。

午前中になんとか起きて、男子ごはんを見て、完全に出かける準備をしちゃってみると、出かけるしかない感じになってくる。
出かけるなら誰かを誘いたいな〜って思ってLINEを開いて、心当たりのある何人かに声をかけようと「今日暇なら遊ばない?」まで入力したところで、いやいやいやいや、待て待て待て待て、一回よく考えよう。仮に暇だったとして、相手を休日に家から引き摺り出して、何ができるのかな?自分にはそういう引きがないんだよな。人としての魅力に乏しい。一緒にいるだけでハッピーみたいな人間じゃない。そこまでわかっているのに今こうして関わりがある人間をピックアップして、断りづらい誘い方をして、最近不足気味の人の優しさを搾取しようとして、なんて卑しい人間なんだろう、自分は。人を直接誘うのはやめよう。声をかけたが最後、その人につまらない時間を過ごさせてしまうから。僕は弱い人間だから加害者になる可能性にすら耐えられない。よかった、罪を犯さずに済んで。この判断力があるうちは生きていける。でもちょっとだけ寂しいから、こんなことをつぶやいてみちゃったりして。

 

f:id:ayntm:20210418212248j:image


こうして人間関係犯罪自慢男性は家を飛び出して、まず秋葉原で昨日発売のデュエマの新弾を確かめに行くことにした。パックはもう売ってなかったからシングルの値段だけ確かめに回ったんだけど、あの、秋葉原ってメイドの客引きすごいところあるじゃん、大通りから一本入った、ドラゴンスターに入ってくところの通り。あそこをこう……わざわざ通っちゃうんだよね。まあドラゴンスターに行きたかったのもあるんだけど、かわいい格好した女の子が声をかけてくれるのが迷惑半分嬉しい半分で、これも優しさの搾取ですよね、今思うと。
それでもって、一通り回って時間を潰しては見たけど別に誰かから遊ぼうみたいな連絡が来るわけでもないので、やっぱり自分にはなんの価値もないんだなと思って、一人デートの名所でお馴染みの葛西臨海公園に行くことにした。
おやつを買って公園に着くと家族連れとカップルまみれで、子どもって今もこんなにいたのかと思った。展望台で前にいた男女(どっちも40ぐらいに見えた)は、まだ知り合ったばっかりのカップルっぽくて、女の人がガールスカウトに入ってたって話をしてて、たしかハリセンボンの春菜も入ってたことを思い出した。

 

f:id:ayntm:20210418212313j:image

 

岩場でおやつを食べながら家族とカップルをぼーっと眺めて、風が吹き荒れる海岸の先端みたいなところに場所を移してディズニーランドがある方をぼーっと眺めた。あそこに並び立つホテルの、一泊何万とかする部屋とだいたい同じ景色が見られてるんだなーって思っちゃって、また自分が恥ずかしくなった。人間関係だけじゃなく、単純に金銭面でも自分は卑しい。


他人の彼女を見て「綺麗でいいな〜」って思うのもだいたい2時間ぐらいで飽きたので、駅まで戻りながらちょっとシミュレーションをした。
架空の彼女に「今日どうだった?なんかごめん、ちょっとショボいうえに歩くのもキツかったかもしれないけど」(彼女は一応僕がよく歩くタイプの外出をすることを知っているのでヒールとかはまず履いてこない、元々そんなに履くわけじゃないけど)と話しかけると「や、普段全然外出ないからこういうのもいいんじゃない?」って返ってくる。ちょっと出てきたペルソナが自分に寄りすぎてるな…と思いながら、「そっか、よかった。えーっと、この後どうする?東京駅まで戻って、ごはんとか行く?」と聞いてみた。ここまであんまりお金を使わない行程だったので、ちょっといい目のお店とか行ってもいいよなって思って。そしたら「あーそれでもいいし、もしよかったら家来てもいいよ」と言うので、家!?と思って、ちょっと遅れて「ごめん、ふしだらなことしか考えられなかった」って返して、ガハハ!wでシミュレーションが終わった。
なんで自分はこうやって失敗してしまうんだろう。そもそもそんな都合のいい女がいないことは置いといて、まだそういうのを包み隠さないでいることが誠実だと思っている節がある。
正直でいることと、思ったことを言うことと、誠実であることはそれぞれ違うよっていうのはわかるんだけど、実践ができない。ちょうどこの間読んだ『BOYS BE…』でもそんなような話があったなって。でもあれは中学生ぐらいの子の話で、こっちはもう大人やらされてる歳なわけで、子ども心を忘れないのはいいかもしれないけど、そういうところは大人としてちゃんとやっていこうよと頭の中の別の誰かの説教が始まったので、シュンとして帰ってきた。ちょっと……今日のデートはダメだったかも。

3/31

こんにちは。御手洗流です。

明日(今日)から新年度ということで、社会人としての一歩を踏み出す方も多いのではないでしょうか。
今回は私から、社会人一年生の皆様にメッセージを送りたいと思います。

 

このエントリを読む人の中にはすでに社会人として活躍しているという方もいるかもしれませんが、そういった方も初心に帰って、新年度からの仕事にフレッシュな気持ちで臨んでいく一助となるような文章になればいいですね。


社会人としての新たなスタートを切る皆様に言いたいことはたった一つ、それは「あるもの」を持っておいてほしいということです。

 

少し考えてみましょうか。


あなたの周りの社会人の先輩や、すでに大人の仲間入りをしている人は、どんなものを持っていますか?

 

たとえば、靴を持っているという人もいるでしょう。
ビジネスシーンで相手を見定める基準の一つとして、初めにその人の靴を見るという人もいます。実際、某有名企業の幹部である私の友人も「普段から足元まで意識を向けている人は、仕事においてもよく気がつく人だと認識している」と話しています。
履く靴は高いに越したことはありませんが、それ以上に気を付けておきたいのが日頃の手入れだと言われています。高価でもくたびれた靴より、多少安価でもよく磨かれたことがわかる靴の方が印象が良いと、先程の友人も語っていました。

 

たとえば、ブランド品を持っているという人もいるでしょう。
服や財布、時計など、身につけるものはその人自体を表すといっても過言ではありません。そして良い大人というのは、「自分はこれ」というブランドを一つや二つ持っているものです。
ブランド品を身につけるということは、単に「高価なものを身につけることで箔がつく」というだけにとどまりません。
ブランド品の本当の価値は、人とのコミュニケーションの中にあります。
なぜそのブランドを選んでいるのか、というのはビジネスの場で頻繁に持ち上がる話題の一つです。デザインに心が惹かれるというのも良いですし、掲げられた理念に共感するというのも良いでしょう。
そこから見えてくるその人のセンスや考え方に、大きなビジネスのチャンスを見出すという人もいると言われています。

 

あるいは、車を持っているという人もいるでしょう。
若者の車離れが叫ばれて久しい昨今ですが、やはり今でも、首都圏や大都市を除く日本の多くの地域は車社会であることは間違いありません。「そんなの、東京にいる自分には関係ないよ」と思う方もいるかもしれません。しかし今多くの企業はそうした地方に目を向けており、「維持費の嵩む都心のオフィスは不要である」といった言説も出てきているのです。
近い将来、あなた自身が地方というブルーオーシャンに漕ぎ出すことになる可能性もゼロではありません。そうなった時、あなたの足となるのは間違いなく車でしょう。大人となる以上、車と無関係でいることは不可能だと言えるかもしれません。


さて、ここまで社会人として持っておきたいものとしていろんなものを候補にあげてきました。
しかし、そのどれもが正解ではありません。全てが紛い物であり、大人になりたいだけの人間が一生懸命に言い張っているだけの、稚拙な嘘に過ぎません。

社会人として持っておきたいもの、それは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:ayntm:20210331234710j:image

Dの博才 サイバーダイス・ベガスです。

 

Dの博才 サイバーダイス・ベガスは、水文明5マナのシールドトリガー付きのD2フィールドです。
水文明を含む5マナを支払うか、このカードがシールドゾーンから手札に加わる時に公開することで、コストを支払わずに自分のバトルゾーンに設置することができます。

このカードを設置することで得られるメリットは大きく2つあります。


1つ目は、自分のターン終了時にカードを1枚引いてもよいこと。
このカードが場にあるだけで、ターン初めのドローと合わせて1ターンにつき2枚の手札補充が可能となります。
社会人として、常に持っておく手札が多いに越したことはありません。このカードは、そうした点を十分に補ってくれる効果を持ちます。
意外と大事なのが、「引いてもよい」という文章ですね。引かなくてもよいのです。リソース切れが予想されるならば、あえて引かずに温存することもできる。忘れないでいたい意識です。

 

そして2つ目のメリット、これが特に強いのですが、Dスイッチという効果になります。
相手のクリーチャーが自分を攻撃する時、このD2フィールドをゲーム中で一度上下逆さまにしてもよい。そうしたら、水のコスト7以下の呪文を1枚、自分の手札からコストを支払わずに唱えてもよい。
一枚につきたった一度だけになりますが、自分が攻撃される時にこのカードを逆さまにすることで、水のコスト7以下の呪文を手札からタダで唱えることができます。

f:id:ayntm:20210331234859p:image
これとか、

f:id:ayntm:20210331234907p:image

これとか、

f:id:ayntm:20210331234919p:image
これとか、

f:id:ayntm:20210331234926p:image
これとかを唱えることで、本来動けない相手のターン中に相手の攻撃を止められる可能性を秘めています。


これからあなたが社会人として働く中で、ピンチに陥ることは幾度もあるでしょう。どうしようもなく、手詰まりだと感じることもあると思います。
しかしそんな時、あなたの場にこのDの博才 サイバーダイス・ベガスがあったらどうでしょうか。もうダメかと思われたその時、これまであなたが集めてきた手札が起死回生の一手となるかもしれません。

 

「できることを増やすこと」
「最後まで可能性を絶やさないこと」


この二つを同時に叶えてくれるのが、このDの博才 サイバーダイス・ベガスです。

 

中古で100円〜で買えます。

 

f:id:ayntm:20210331235020j:image

もちろん私も普段から身につけています。

 

社会人になる皆様は、Dの博才 サイバーダイス・ベガスを持って過ごしてくださいね。